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アベノミクス景気回復、主要因は米国好景気…米中欧が同時減速の兆候、円安景気終了か

文=真壁昭夫/信州大学経済学部教授
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アベノミクス景気回復、主要因は米国好景気…米中欧が同時減速の兆候、円安景気終了かの画像1日本銀行(撮影=編集部)

 4月下旬、日本銀行が同月の金融政策決定会合で追加緩和するとの観測などもあり、一時111円台後半にまでドル高・円安が進んだ。ここにきて急速に円が下落したことを受けて、年初来の円高圧力が解消に向かうか投資家の関心は高いだろう。

 ただ、為替市場における状況を冷静に考えると、ここからさらに円安傾向が進むと考えるのはやや尚早だ。2011年11月以降、為替相場ではドル高・円安傾向が進んだ。わが国では円安が強調されがちだが、これはドルがその他の通貨に対して上昇した結果、つまりドル高と考えるべきだ。日銀の異次元緩和が円安圧力を高め景気回復を支えた裏には、海外経済の好転という世界経済の流れがあった。これはわが国にとって幸運だった。

 しかし、昨年夏場以降米国の先行きに陰りが出ると、ドルがその他通貨に対して弱含みの展開になっている。それは、ある意味で過去4年ほどのドル高の修正といえる。わが国の経常黒字が安定的な円買い需要を生み出し、世界経済の先行きに関するリスクも増えつつある。そのため、為替相場の流れが昨年までのようなドル高・円安に回帰しづらくなっていることには注意が必要だ。

2015年半ばまで過去4年続いた円安の真相

 1月末のマイナス金利導入決定以降、急速に円がドルなどに対して上昇してきた。円安は企業業績を支え、株価の上昇や賃上げを支えた。しかし、足許では熊本地震が製造業に与える影響も重なり、円高への懸念は高まっている。

 そうした状況下、日銀の追加緩和を求める声が増えている。4月22日には、同月の決定会合で日銀が金融機関に貸し出すお金にマイナス金利を適用するとの観測が高まり、急速に円が売られた。このように期待が高まる背景には、日銀がさらなる金利低下圧力をかければ、内外金利差の拡大が円の下落圧力につながるという考えがある。

 経済理論に沿えば、高金利の通貨は金利の低い通貨に対して上昇しやすい。そのため、円高が進むと追加緩和によって国内の金利をさらに低下させようという考えが高まる。金融の緩和で景気は持続的に回復しないとの指摘もあるが、これは今後も繰り返されるだろう。

 ここで頭に入れておくべきポイントは、11年11月以降の円安は海外経済に支えられたということだ。新興国の経済成長が低下するなか、シェールガス開発の進展が米国の景気回復を支えたことは特に重要だった。その結果、米国の利上げ期待が高まりドル高が進んだ。アベノミクス始動の段階で、わが国は海外経済の好転という幸運に支えられた。

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