世界各国、サミットで協調して中国排除を決定…中国による他国の特許侵害や雇用喪失を撲滅
5月26、27日に三重県で行われた第42回主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)。世界経済に対する危機感の共有やアメリカのオバマ大統領の広島訪問などがクローズアップされたが、実質的には「中国包囲網サミット」であったともいえる。
それは、なぜか。伊勢志摩サミットの成果文書として出された「G7伊勢志摩首脳宣言(骨子)」を見ながら、解説していこう。
まず「1 前文」には、G7(先進7カ国)について「自由、民主主義、法の支配及び人権の尊重を含む共通の価値及び原則によって導かれるグループとして引き続き結束」とある。「自由」「民主主義」「法の支配」という「平和の三原則」ともいえる言葉が用いられると同時に、「人権の尊重を含む共通の価値」は安倍晋三政権が求め続けている考え方だ。
これは、直接的に名指しこそしていないが、中国に対して強い不満を示すものであり、中国包囲網のスタンスを明確にしたものであるといえる。以下、重要な部分について解説していきたい。
「3 世界経済」の「(1)世界経済」だが、世界経済の現状といえば、下振れ傾向が続き、新興国を中心に景気減速が見られる。そうした状況を認識した上で、対処に当たることを世界の首脳が合意したことを示している。
財政状況においては各国にかなり差があり、日本やアメリカは機動的な財政出動を強く求めたが、財政緊縮路線のドイツや、EU(欧州連合)離脱を問う国民投票を控えているイギリスは反対。世界的に合致した意見はなかったものの、「財政出動を行う」という方向性だけは一致したといえる。
また、「過剰な生産能力は、世界的な影響を有する構造的な課題」という文章がある。「過剰な生産能力」というのは、主に中国の鉄鋼や太陽光パネルなどを指すものだ。
中国は鉄鋼などの過剰生産が止まらず、ダンピング(不当廉売)によって輸出を進めてきた。これによって、先進国の鉄鋼市場は大きなダメージを受けており、アメリカやヨーロッパでは中国製品に対して反ダンピング関税を適用する動きが強まっている。
また、アメリカの鉄鋼業界は中国の製鉄がパテント違反、つまり特許権の侵害だとして輸入禁止を求めており、政府が調査に乗り出した。まるで仕込まれていたかのように、サミット終了の翌日に、そのような決定がなされているのだ。
パナマ文書で顕在化したタックス・ヘイヴン狩りも
次に、「(2)金融規制改革」を見てみよう。「G20金融セクター改革の課題の適時、完全かつ整合的な実施を支持」とある。
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