マイナス金利時代の現在、資産運用で年利10%という数字を上げ続けるのは至難の業です。しかし「確定拠出年金」(以下、DC:Defined Contribution Plan)を活用すれば、本人の努力や才能とは関係なく、年利10%もの運用益を稼ぐことができます。
この利回りは減税効果によるものです。DCの掛け金は全額所得控除なので、会社員なら年末調整(会社に控除証明書を提出)、自営業者なら確定申告をすることで、所得税と住民税を減らす効果があります。所得税は個々人の所得金額によって税率が異なりますが、住民税は一律10%です。
ということは、単純計算で所得税率10%の人なら20%の利回り、20%の人なら30%の利回りとなり、これが加入期間中は毎年続くというわけです(減税効果は家族構成などによって異なる)。
つまり「税金という支出を減らす」ことで実質的な経済的メリットを得られるのです。さらに60歳まで解約できない制度となっているため、老後資金を貯めるうえでも好都合といえるでしょう。
このDCが通常の年金と異なるのは、年金が賦課方式(現役世代から広く保険料を徴収し、受給者にそのままスライドして分配する)なのに対し、DCは積立方式である点です。つまり、自分で積み立てたお金はすべて自分が受け取ることができ、さらに「見える化」と「持ち運び」もできます。積立をしている金融機関の専用ウェブサイトにログインすれば、自分のお金がいくらになっているかがすぐにわかります。転職・離職の場合でも、自分のDCを持ち運ぶことができます。
商品の品揃えも豊富
また、DCは運用方法を自分で決める制度なので、払い込みの窓口となる民間の金融機関(銀行や証券会社など)が用意した商品のなかから選びます。商品の種類は、大きくは元本確保型のものと、元本変動型のものに分けられます。前者には定期積立預金や確定給付型の生命保険があり、後者は株式や投資信託です。
しかもDCでは、手数料が安い商品が多数ラインナップされています。一般の証券会社の口座や銀行の窓口で買う投資信託では、購入時の手数料が1~3%程度(ノーロード投信を除く)、アクティブファンドであれば信託報酬は年2~3%程度かかります。売却時に信託財産留保額がかかるものもありますし、売買委託手数料や監査報酬などがかかるものもあります。さらに分配金や売却益が出た時は、利益の20%が課税されます。