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危ない大学20校リスト!大学評価「適合」校で募集停止相次ぐ

文=島野清志/評論家
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危ない大学20校リスト!大学評価「適合」校で募集停止相次ぐの画像1「Thinkstock」より

 入学時の難易度が低く世間での認知度も低い、従って受験生からも敬遠されがちな、いわゆるマイナーな私立大学のホームページを閲覧すると、しばしば見かけるものがある。公益財団法人日本高等教育評価機構(JIHEE)のマークだ。その名が示す通り、大学の評価を行う専門機関であり、大学側としてはそのお墨付きを誇示したいのだろう。

 JIHEEのように、大学の認証評価を実施する機関が設立されたのは平成16(2004)年度から、すべての大学(短大、高専も含む)は7年以内ごとに文部科学大臣が認証する機関によって評価されることを義務付けられたためだ。この背景には、03年に立志舘大学、04年に東北文化学園大学(いずれも当時)が募集停止、運営破たんに陥り、大学の危機が顕在化したことがある。

 現在、認証機関にはJIHEEと大学基準協会があり、前者は主に多くの私立大学、後者は同じく国公立大学及び有力な私立大学の評価を行っている。いわば棲み分けが行われているために、特にマイナーな私大でJIHEEの名前を見かけることが多いのだろう。

 認証評価の基準についてはJIHEEのウェブサイトに明示されている。大学としての使命・目的、学修と教授、経営・管理と財政、自己点検・評価の4つに分かれ、合わせて22の項目で評価が行われていることがわかる。基本的なスケジュールを見ても実査から評価までほぼ半年の期間を要するのであるから、相当に大がかりなものであろう。

 だが、どこか違和感を覚える。解がないというべきか、基準に対する具体的な評価方法が記されていないからだ。あるいはその曖昧さがもたらしているのか、JIHEEによる大学の評価は甘い、との指摘は大学関係者から聞かれる。

 実際、過去5年の評価結果を見ても、大学として相応しいとされる適合判定の253校に対して、不合格の不適合判定はわずか2校に留まっている。また適合判定のなかには、評価後ほどなく4年生大学の募集停止を決めたプール学院大学と東京女学館大学も含まれている。

明確な基準なし

 認証評価の疑問点、不明点について同機構の担当者に取材を申し込んだが日時が折り合わず、質問状を送付して以下の回答を得た。

Q:認証の基準は適合不適合の判定にどう反映されるのか。明確な基準は存在するのか。

A:保留や不適合の判定については個別大学ごとに大学全体の状況を踏まえて判定委員会で審議し、決定しているので何項目満たさなければ不適合という線引きはしていない。

Q:同様に各法人の財務内容に関して、明確な基準(たとえば大学の平均値をどの程度下回れば不適合のような)線引きはあるのか。

A:財務についての審議も大学ごとの全体の状況を勘案して、判定委員会で審議し、決定しているので、大学の平均値との比較で線引きするような基準は設けていない。

Q:過去、「適合」としたプール学院大学、東京女学館大学はその後、募集停止になった。

A:評価の時点においては当機構の基準を満たしていることから、「適合」と評価した。認証評価は大学をより良くするための手段と考えている。募集停止については複数の学校を有する学校法人が独自に将来を見据えて法人規模の見直しを行い、最終的に決定したことだと思う。

Q:今後、認証評価をより細分化する予定はあるか?

A:認証評価の第3期が平成30年度から始まる。当機構でも現在の評価の見直しを行い、平成30年度から新評価システムで実施すべく、現在検討を進めている。3つの判定結果(適合、不適合、保留)の在り方についても今後検討する予定である。

 もちろん教育機関である大学の優劣を、主要な格付け会社が民間企業に対して実施するような形で線引きするのは難しいことかもしれない。ただ回答にあるように判定委員会の審議に多くを委ねるのも、どうであろうか。最終決定を下す判定委員会のメンバーは委員長の佐藤東洋士桜美林大学総長以下、16人中14人が大学の関係者だ。圧倒的多数を占める利害関係者の合議が、どのような評価、結論に傾くかは概ね想像はつく。

 ひとつ、私立大学の危機を如実に物語るデータを紹介しておこう。

 昨年、4年制大学の募集停止を決めた学校法人プール学院大学の前期決算と、同レベルの私大を運営する学校法人の財務データを比較してみると、同法人の内容に過半の項目で見劣るものが19法人もある。確かに大学をより良くすることは大切ではあろうが、厳しい現実を詳らかにするのも大学評価機関の責務と思われる。
(文=島野清志/評論家)

【プール学院大学と比較して財務内容が見劣る大学法人一覧】

※調査項目は帰属収支差額、帰属収入総管理費比率、固定比率、補助金依存度、繰越収支比率

・5項目中4項目該当
足利工業大学、芦屋学園、金蘭会学園(千里金蘭)、郡山開成学園(郡山女子)、東亜大学、柏専学院(新潟産業)、明浄学院(大阪観光)

・5項目中3項目該当
ありあけ国際学園(保健医療経営)、市邨学園(名古屋経済)、開智国際、享栄学園(鈴鹿)、都築教育学園(第一工業)、天満学園(太成学院)、東洋学園、奈良学園、船田教育会(作新学院)、平安女学院、ものつくり、稚内北星学園

島野清志/経済評論家

島野清志/経済評論家

1960年生まれ、東京都出身。経済評論家。早稲田大学社会科学部中退後、公社債新聞記者、一吉証券(現いちよし証券)経済研究所を経て92年に独立。以降、教育をはじめ、経済、株式などについての著述、評論活動をおこなう。93年から続く『危ない大学・消える大学』シリーズのほか、『この会社が危ない』『この会社が勝つ』『就職でトクする大学・損する大学ランキング』各シリーズ(共にエール出版社)など著書は100冊を超える。

Twitter:@simanokiyosi

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