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英国のEU離脱、未曾有の世界同時景気後退の兆候…欧米各国、自国第一主義で協調崩壊

文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授
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英国のEU離脱、未曾有の世界同時景気後退の兆候…欧米各国、自国第一主義で協調崩壊の画像1イギリス、欧州連合離脱で国際金融市場が大荒れ(「AP/アフロ」より)

 6月23日、英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票が382の選挙区で実施された。その結果、52%の有権者が離脱を支持し、EU離脱=ブレグジットが決まった。経済力・文化、言語などが異なる多くの国の共同体を目指したEUにとって、離脱を選んだ国が出たのは初めてだ。これは、欧州が新しい時代への扉を開いたことを意味し、明るい将来よりも、EUの崩壊につながる扉になるかもしれない。

 一方、国民投票の結果、英国も新しい歴史のページをめくったことになる。それは大英帝国の終焉につながる危険な扉だ。EU残留が過半数を占めた北アイルランドとスコットランドでは、ともに英国からの独立を目指す考えが表明されていた。今回、英国のEU離脱が決定したことをきっかけに、北アイルランドとスコットランドの独立の機運が高まると考えられるからだ。

 そうした状況を映して、当面、世界の金融市場は不安定に推移する可能性が高い。すでにキャメロン首相は10月までに辞任することを表明し、EU離脱交渉は新政権にゆだねられることになった。どのように英国が離脱交渉を進めるかは不透明だが、英国、EUの政治が大きな転換点に差し掛かっていることは確かだ。

 歴史的にみても、英国は欧州の中でも視野が広く国際政治の経験も長い。国民投票で移民問題への不満を主な理由に英国が離脱を選んだことは、欧州全体にとっても大きなマイナスだ。世界経済の足を引っ張る可能性も高い。日本経済にも無視できない影響をもたらすだろう。先行き不透明感が高まる中、欧州の政治動向は世界経済の主要なリスクファクターのひとつと見るべきだ。

国民投票実施までの経緯

 2013年1月、キャメロン首相はEU離脱を問う国民投票の実施を公約に掲げた。首相は、国民投票の実施を通して、反EU派の反発を鎮めるとともに、EUから有利な条件を引き出そうと考えたのだろう。EUに加盟することで得られる関税などの恩恵が大きいだけに、国民は残留を選択するという目算もあったはずだ。

 しかし、欧州経済の低迷、中東などからの難民問題が深刻化するにつれ、英国内ではEUに対する不満や反発が強まった。かねてより移民が雇用機会を奪っているとの批判があっただけに、難民問題は対EU感情の悪化に火を注いだ。こうして、当初英国の世論調査では残留派が優勢だったものの、徐々に離脱派への支持が増えた。そして、6月10日の世論調査の結果、離脱派が残留派を10ポイント上回った。

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