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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

酷暑&熱中症、間違いだらけの回避法!エアコン&室内はかえって危険?なしでも快適?

文=新見正則/医学博士、医師
酷暑&熱中症、間違いだらけの回避法!エアコン&室内はかえって危険?なしでも快適?の画像1「Thinkstock」より

 今回は、熱中症の話で盛り上がっています。まず“常識君”が熱中症の説明をします。

「熱中症とは体の体温を下げる機能が正常に働かなくなり、体温が上昇し、頭痛、めまい、吐き気、倦怠感、疲労感、そして対処が悪いと死に至ることもある状態です」

 そこで“極論君”が言います。

「まず熱中症の注意報や警報が出たら、外出などしないで、屋外での仕事も中止して、家の中で過ごすことが危険を避ける最良の手段だ!」

 しかし、この意見に常識君は異を唱えます。まず、体温を下げる方法は汗です。熱い汗が滴り落ちるだけでは、体温を冷やす作用はほんのわずかです。汗が蒸発するときに気化熱が体から奪われるので、効率的に体温を低下させることができます。つまり、適切に汗をかいて、そして汗が皮膚から気化することが大切なのです。

 夏に道路や庭に水を打つと冷ややかに感じることで、多くの人は実際に気化熱の重宝な働きを実感していると思います。体の水分量が不足して汗が出ない状態では冷却機能は働きませんし、また汗が出ても、汗が蒸発しなければ冷却機能は十分に作用しません。ですから熱中症は室内でも起こるのです。そしてむしろ最近は室内で発生する熱中症のほうが多いともいわれています。

 理由は、汗を蒸発させるには不向きな環境があるからです。エアコンに頼っていると、快適な風が入る環境は犠牲になります。エアコンでつくった冷たい空気が逃げないように、環境が密閉されることもあります。そんな時にエアコンの設定温度が高いと、いわゆるジメジメした環境になり、最近の異常な暑さで、汗は出るがその汗が蒸発しにくいので、気化熱による冷却がうまく行われないのです。つまり室内に避難するのであれば、エアコンをしっかりと使うことが必要です。

 また、昔の家屋のように風の流れを考慮して設計されていると、エアコンがなくても、適切な風によって汗が蒸発し体温が下がります。また、風がない日でも、昔は団扇や扇子などで風を起こして、そして気化熱を生じさせていたのです。団扇や扇子でなくても、扇風機でも十分にその役割は担えます。つまり、諸般の事情で比較的高温に設定された密室のエアコンや、風通しの悪い部屋でエアコンを使用しないでがんばることは、蒸し暑い環境をつくり出すので気化熱発生による冷却機能をひどく妨害し、むしろ熱中症を引き起こすのです。

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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