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国民にお金をバラ撒く政策への期待高まる…急速に経済悪化でナチス・ドイツを生んだ劇薬

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「Thinkstock」より

 7月10日に投開票された参院選で、自民党を中心とする改憲勢力は3分の2超の議席を確保した。これを受けて安倍晋三首相は経済対策の取りまとめを指示した。一方、7月12日、米連邦準備制度理事会(FRB)の前議長だったベン・バーナンキ氏が来日し、安倍首相と会談したことをきっかけに市場の雰囲気は大きく変わった。いわゆる“ヘリコプターマネー”への期待が高まったのだ。

 ヘリコプターマネーとは、上空からお金をばらまくように、政府が現金などを国民に給付する経済政策だ。政府が発行する国債を中央銀行が引き受けることで、政府は無制限に資金を使うことが可能になる。いわゆる財政ファイナンスだ。

 現在、日本の法律は財政ファイナンスを禁じている。しかし、バーナンキ氏はヘリコプターマネーに前向きな考えを持つことで知られてきた。日本の経済政策を見ても、さらなる経済対策を打ち出す余裕はなくなっている。公的な債務はGDPの200%を超えており、金融政策ではマイナス金利という非常事態の政策が進んでいる。

 ただし、ヘリコプターマネーはマイナス金利をはるかに上回る劇薬だ。歴史を振り返ると、財政ファイナンスを通して中央銀行が紙幣を乱発することで、最終的に急速な物価上昇、さらには社会不安につながった歴史がある。

ヘリコプターマネーの意味


 ヘリコプターマネーとは、金融政策と財政政策を融合した経済政策だ。この起源は、米国の著名経済学者であるミルトン・フリードマンが1969年にまとめた論文「最適貨幣量」にある。ここでフリードマンは、「政府がヘリコプターを飛ばして上空から紙幣をばらまき、直接、国民にお金を配ればどうなるか」との議論を展開した。

 フリードマンの提言エッセンスは、政府が新しく刷られた紙幣を国民に給付することにある。つまり、対価を求めず、空からばらまくのである。実際に政府がヘリコプターを飛ばし、お金を上空から無尽蔵に落とすわけではない。ヘリコプターマネーが導入された場合、政府は地域振興券などの商品券を国民に給付し、需要を喚起することになる。

 1999年には日本で地域振興券という商品券の一種が発行された。広い意味でいえば、この政策はヘリコプターマネーの一種といえる。政府は対価を求めることなく、消費者に商品券を配ったからだ。