東京都知事選挙も大詰めだ。7月31日に投開票が行われる。告示前後の下馬評は、野党統一候補の鳥越俊太郎氏が最有力、次いで与党などが推す増田寛也氏、僅差で小池百合子氏といわれていた。
しかし、まず増田氏が後退した。岩手県知事時代の実績などを暴かれると、実務能力に疑問が投げかけられ、さらに増田氏を推薦する自民党の醜聞が流れて一気に劣勢となった。
鳥越氏と小池氏による一騎打ちの様相を呈し始めた選挙戦中盤、鳥越氏に14年前の女性スキャンダルが明るみに出て、鳥越氏は急速に支持率を下げた。疑惑が浮上した後の対応も誠実さを欠いたことから、批判的意見が勢いを増しており、もはや再浮上は絶望的な状況だ。
このような状況から、最終盤での世論調査は、マスコミ各社いずれも小池氏優勢と伝えている。増田氏が盛り返しつつあるが、有権者の支持率は5割近く小池氏に傾いている見通しだ。
だが、仮にこのまま小池氏が都知事になったとしても、その後には激しいバトルが待っている。
自民党に所属し、環境大臣、沖縄及び北方対策担当大臣、防衛大臣を歴任、党の広報本部長や総務会長なども務めた小池氏が都知事選に出馬するのに、自民党はバックアップをしなかった。それどころか、増田氏を担ぎ上げて小池氏を潰しにかかった。
皮肉にも、この内紛劇によって自民党東京都議会議員連盟、ひいては自民党の闇が炙り出され、世論が自民党に対して嫌悪感を抱くこととなった。今、増田氏が苦戦している一番の原因は、増田氏自身ではなく、この自民党と自民党東京都連にあるといえる。
都連については、公に語られることが少なかったが、今回の都知事選を皮切りに、さまざまな醜聞が噴出している。元都知事の猪瀬直樹氏も、都議会は都連幹事長を10年以上務め“都連のボス”といわれる内田茂氏が掌握し、既得権益を仕切っていると暴露した。
小池vs.都議連、全面対決
小池氏は、こういった都議会の実態を「ブラックボックス」と批判し、都議会を解散することを公約に掲げる。全面的に対決姿勢を押し出し、都民の支持を得ようとしている。
旗色の悪い自民党は、幹部クラスも総動員して増田氏のバックアップに回り始めた。選挙戦序盤で「増田氏以外を応援すると除名等の処分の対象となる」という文書を出し、党全体で増田氏を援護するよう求めた都連だが、予想外に強い反発を受けた。