いよいよリオデジャネイロオリンピックが8月5日から開催される。つまり、東京オリンピック開催まであと4年となったわけだ。
オリンピック招致に成功して以来、数々の問題が浮上し、開催の可否すら疑わしい。
招致の際、安倍晋三首相がスピーチで、東京電力福島第一原子力発電所の事故は「完全にコントロールされている」と発言したが、制御不能状態であることが露呈し、問題視された。
エンブレムのデザインに盗用疑惑が持ち上がり、白紙撤回して再度コンペをやり直した。同様に、新国立競技場の建築についても、莫大な費用の問題から白紙撤回→コンペやり直しという不手際があった。
最近では、招致にあたって、電通が中心となって1億6000万円もの裏金を国際陸上競技連盟のラミン・ディアク前会長の息子に支払っていたことが5月に発覚し、開催を辞退すべきとの議論まで湧き上がった。
国際的に恥をさらし続けているといっても過言ではないほど、大きな問題が次々に噴出している状況だ。
そして、ここにきてまた大きな問題が明るみに出た。大会運営にかかる諸経費は招致当初、7340億円と見積もっていたが、それが大幅に間違っていたというのだ。大会関係者は、「少なく見積もっても2兆円、多ければ3兆円もあり得る」と明かす。
もっとも大きいのは、競技会場の建設費だ。水泳会場となる「オリンピックアクアティクスセンター」が当初見積もりの321億円から683億円に、カヌーやボートの会場「海の森水上競技場」が69億円から491億円と、資材や人件費の高騰などもあって建設費が跳ね上がった。
紆余曲折の末に着工に至った新国立競技場でも、再度建設費が膨らみ始めている。きっかけは、自民党のわがままだ。観客席を当初案のプラスチックではなく、「木製がいい」と要望し、それが数十億円の上乗せとなる見込みなのだ。木で一つひとつ製作するイスは、1脚9~10万円といわれており、総額50億円にも上る。しかも、定期的に塗装し直さなければならず、耐用年数も短いためメンテナンス費用も甚大になる。
さらに問題視されているのは、大会が終わればすぐに取り壊される「仮設施設」だ。招致時には723億円とされていたが、現時点での見積もり額は約3000億円といわれている。大会組織委員会が負担するとの申し合わせがなされていたが、組織委が全額負担するのは困難な状況で、税金が投入されると見られている。