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筈井利人「一刀両断エコノミクス」

ダフ屋の合法化と隆盛は、音楽文化を必ず活性化させる…ファンに多大な恩恵

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「Thinkstock」より

 コンサートのチケットを、インターネットを通じて定価より高値で転売する個人や業者が増えるなか、日本音楽制作者連盟(音制連)などの業界団体が中心となって8月、高額転売に反対する共同声明を出し、議論を呼んでいる。

 この声明に対しては、すでに経済学者やエコノミストが的確に批判している。たとえば大阪大学教授の大竹文雄氏は、業界側が「チケット転売のために、本当にチケットが欲しいファンに行き渡らない」と主張するのに対し、転売はむしろ「本当にチケットが欲しいファン」にチケットが行き渡るのに役立つと指摘する。

 大竹氏は説明する。抽選制度の場合だと、抽選に外れた熱烈なファンは転売業者に高い価格を払ってでも、コンサートチケットを手に入れることで便益を受け、抽選に当たったそれほど熱烈ではないファンは転売業者にチケットを売ることで、コンサートに行くよりも便益を受ける。転売業者は両者の願いを叶える。

アーティストにとっても、大したファンでもないのに、偶然チケットの抽選に当たった人たちがコンサート会場に交ざっているよりも、熱烈なファンでコンサート会場が埋め尽くされている方がうれしいのではないだろうか」(大竹氏)

 この指摘は正しい。これに対し、熱烈なファンではない人々がライブを見てファンになる機会をつくるためにも、チケット転売は規制されるべきとの反論もあるが、もし業界側がそのような意図を持っているのであれば、もっとスマートな方法を工夫すべきだろう。チケット転売を規制し、不便を強いることがファンを大切にする態度だとは思えない。

 大竹氏は転売規制の代案として、コンサートチケットのうち一定枚数を主催者が直接ネットオークションで売るよう提案する。嘉悦大学教授の高橋洋一氏は、主催者みずから転売市場に乗り出すよう促す。
 
 これらの案は悪くないが、ここではもっと大胆な改善策を提案したい。それは「ダフ屋」の合法化である。

取り締まりに合理的根拠なし


 ダフ屋とは、チケット類を転売目的で入手し、売りさばく業者のこと。ダフ屋がチケット類を売りさばいたり、売りさばこうとする行為を、ダフ屋行為という。
 
 現在、ダフ屋行為は大半の都道府県の迷惑防止条例で禁止されている。「転売目的でチケット類を公衆に対して発売する場所において購入する」「公衆の場で、チケット類を他者に転売する」のどちらかにでも当てはまれば刑事罰の対象となる。迷惑防止条例のない県では、物価統制令を根拠に取り締まっている。どちらについてもいえるのは、合理的な根拠に乏しい点だ。