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法科大学院、「無用の長物」化が深刻…出身者は就職不利、司法試験合格者ゼロ校も続出

文=平沼健/ジャーナリスト
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法科大学院、「無用の長物」化が深刻…出身者は就職不利、司法試験合格者ゼロ校も続出の画像1最高裁判所(「Wikipedia」より)

 法務省は9月6日、今年の司法試験の合格者が、前年より267人少ない1583人だったと発表した。合格率は0.13ポイント低下し22.95%だった。合格者が2000人を下回るのは3年連続で、減少傾向に歯止めがかからなくなっている。受験者数も昨年より1117人減り6899人、平均年齢は28.3歳。

 合格率が高かった法科大学院は、トップが一橋大学(49.61%)で以下、東京大学(48.07%)、京都大学(47.30%)、慶應義塾大学(44.29%)、早稲田大学(35.85%)と続く。合格者数がもっとも多かったのは慶應大の155人で、次いで早稲田大の152人、東大の137人だった。

 だが、実はこれら法科大学院よりも、予備試験通過者のほうがはるかに多く、合格率も高かったのだ。合格者は235人、合格率は61.52%だった。この合格率は減少傾向にあるものの、それでも法科大学院修了生よりもはるかに高い。

 合格者数が昨年より1割以上も減り、合格者がゼロの法科大学院も7校あったことで、法科大学院の存続意義についての議論も加速しそうだ。ちなみに、合格者ゼロの7校は愛知学院大学、神奈川大学、京都産業大学、久留米大学、大東文化大学、東海大学、姫路独協大学で、いずれもすでに廃止・学生募集停止を決めている。さらに、全国74校中の29校が廃止または募集停止を決めている。

 そもそも法科大学院とは、司法制度改革の一環として2004年に創設された制度だ。原則として、法科大学院を修了した者のみに司法試験の受験資格を与え、合格者を倍増させる狙いだった。

 だが、実際には法科大学院修了生の合格率は伸び悩み、合格者は一部の大学に偏った。さらに、高い授業料や標準修業年限である3年間を費やすことができる人も限られているため、法科大学院修了と同等の資格を得られる予備試験を受ける人の割合が高まっている。

 法務省の調査によると、昨年の新人弁護士の平均年収は568万円だった。この金額は、5年前と比べて約210万円減少している。司法試験に合格した後は1年間の司法修習を受けるが、この期間は給料が出ない。最高裁判所が無利息で毎月23万円生活費として貸与するが、修習期間だけで276万円の借金を背負うことになる。

 これに加えて、法科大学院の授業料を奨学金などに頼った人は、就職するころには莫大な借金額となる。

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