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熊谷修「間違いだらけの健康づくり」

老後の認知症&早期死亡リスク高い人に、ある共通点が判明

文=熊谷修/人間総合科学大学教授

 リスク回避下限の「血清アルブミン4.3g/dL以上」という値は、医療現場で用いられる基準に従えば相当に栄養状態が良好と評価される。そもそも臨床基準では、3.8g/dL以上あれば良いことになっている。臨床基準は深刻な負の状態を見つけ出すためのものである。負の健康リスクを可能な限り排除するための健康づくりの手段を特定するためには、臨床基準での解釈は到底使えない。

 人生後半の健康問題を取り扱う老化研究が進むに従い、広範な健康リスクを排除するためには相当良好なたんぱく質栄養が必要なことがわかってきた。

 今月発表されたノーベル賞医学生理学賞受賞の研究テーマは、オートファジーである。オートファジーは飢餓適応の細胞内システムとも理解できる。過度の食事制限による飢餓状態(栄養失調)の長期化は、オートファジーが備え持つ細胞浄化能力を超えた負の産物の細胞内蓄積を招く。その結果さまざまな疾病の発症と悪化リスクを高め、老化も促進される。

 良好な栄養状態を保つことの大切さは、ノーベル賞受賞研究に関連する科学知見からもはっきりわかる。健康科学の中で栄養事象を決して矮小化してはならない。
(文=熊谷修/人間総合科学大学教授)

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

1956年宮崎県生まれ。人間総合科学大学教授。学術博士。1979年東京農業大学卒業。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国最初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者である。東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、介護予防市町村モデル事業支援委員会委員を歴任

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