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大江英樹「おとなのマネー学・ライフ学」

TPP崩壊と、自由貿易の謎と、マイケル・ジョーダンが芝刈りをしないほうがよい理由

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シカゴ・ブルズ時代のマイケル・ジョーダン(ロイター/アフロ)

 米国の次期大統領、トランプ氏が就任と同時に脱退すると表明したTPP(環太平洋パートナーシップ協定)。今国会でも議論の焦点になっています。これが良いか悪いかの議論は別として、TPPが目指す「自由貿易」に代表される「取引」や「交換」の概念と原理を理解しておくことで、私たちが日常での買い物や商取引において、損をせずに合理的な判断をすることができます。それについて考えてみましょう。

経済のブロック化が戦争を引き起こした?


 1930年代に起きたアメリカの不況は、あっという間に世界中に広がりました。当然どこの国も深刻な不況に見舞われたことで、それまで自由に貿易が行われていた国が互いに関税をかけて自国の産業を保護しようという方向に動いたのです。そのため当時の世界貿易は縮小し、不況がさらに深刻化し長引いてしまいました。

 特にヨーロッパのように多くの植民地を持つ国は、自国と自国の植民地を、1つのブロックとして世界経済から隔離して、独自の経済圏としたのです。つまり他国からの輸入品には高い関税をかけて輸入を阻止し、自国の製品を植民地間で輸出入し、自分の勢力範囲だけで賄おうとしたということです。

 植民地を持っていたり、アメリカのように広大な国土と資源を豊富に持っていたりする国はまだしも、日本やドイツのように植民地をあまり持たない国にとっては経済がブロック化されることは大きな痛手です。当然自分たちも植民地を持とうとします。日本の場合も、満州を自国の権益が確保できる経済圏にしようと動いたことで欧米と対立し、戦争に進んでいったのです。

 この反省から、第二次世界大戦後には保護貿易が進まないよう、さまざまな自由貿易に対する取り決めが行われてきました。こうした政治的な取り決めによって自由貿易体制が確保されることは良いことですが、ここでシンプルな疑問が出てきます。

 それは、例えばアメリカのように国内になんでもある国と生活必需品すら困窮している発展途上国との間では、果たして貿易が成立するのだろうか? という疑問です。なんでも持っているアメリカのような国は発展途上国からは何も買うものがないのだから、貿易というのは成立しないのではないかということです。