昨年9月21日に開催された宮城県・多賀城市議会決算特別委員会。新図書館の運営を強引にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に決めたといわれている市長サイドの姿勢を、これまでも厳しく追及してきた、“反ツタヤ図書館”の急先鋒と目されている共産党の藤原益栄議員が質問に立った。
同年3月21日、多賀城市に全国3例目となる「ツタヤ図書館」としてリニューアルオープンしてから半年が経過していた。開放感のある吹き抜けと、壁面いっぱいに書架を配置したおしゃれなスペース、カフェやレストランが併設された新図書館入居ビル。その入場者数は80万人を記録し、地元では知らない人がいないほどの有名スポットとなりつつあるが、藤原議員が問題視したのは、その中身だった。
注目したいのは、当サイトがこれまで何度も取り上げてきた「中古本購入問題」について、初めて市教委当局がその事実を明確に認めたことである。
藤原議員は、中古の選書リストに価格欄がないことについて教育委員会に問いただした。
「中古本についてはどうなんですか。1冊1冊値段があるものを買ったということでよろしいですか。普通、図書館はそういう買い方をするらしいんですが、どうですか」
担当の生涯学習課長は、動揺することなく準備してきた答弁を淡々と読み上げた。
「今回の購入の仕方なんですが、やはり件数が非常に多くなるということも予想されましたので、1点1点ということではなくて、やはりある程度まとまったグループといいますか、集まりとして購入をしているところです」
つまり、図書館に蔵書する図書について、個別に価格の妥当性はチェックせず、まとめて購入したというのだ。担当課長は、「確かに教育委員会サイドのほうで1冊1冊、リストなど、あと実際現物も見てチェックはしております」と説明するが、購入する本の妥当性は確認していても、価格は問わないというのは違和感がある。
担当課長は、直接教育委員会が購入したわけではなく、移転準備業務を委託したCCCが購入したと責任逃れしながら、「教育委員会は1冊1冊の単価は問うてはいないが、総額、平均単価で把握している」と答弁する。
それに対し、藤原議員は強く異議を唱え、個別に本の価格を確認せずに大量購入したことの異常性を指摘した。
「(全国2例目のツタヤ図書館である)海老名では、きちんと中古本のリスト1冊1冊に値段がついていたんですよ。(略)図書館がこういう1冊1冊の値段がない本をまとめて買ったというのは、おそらく日本の図書館界で初めてだと思います。それを、なんら問題がないと答えているということは、非常に異常な事態だと私は思います」