市場価値100円以下の本を920円で購入
さらに藤原議員は、購入した古本の市場価値についても追及する。
追加蔵書として購入した図書の1冊当たりの平均単価について質問すると、担当課長は「新刊本2085円、新古書本(中古本)920円」と回答した。
しかし、当サイトでも、たびたび報じてきた通り、このときCCCが市教委に提出した1万3000冊の中古本の選書リストには、市場価値が極端に低い本が大量に含まれていた。その点を藤原議員は、古書店の店主から得た情報として、出版から5年以上経過した古本の販売価格は100円以下で、5年未満でも300~500円だと紹介し、多賀城市が追加購入した中古本の諸経費込みの単価はいくらなのかと詰め寄った。
担当課長は、本の装備、輸送料、管理費、また選書にかかわる人件費などを含め、新古書本の平均単価は920円と回答した。
その答えを受け藤原議員は、2013年からCCCが運営している佐賀県・武雄市図書館の場合は、すべて込みで756円だが、多賀城市は本の単価が928円で、ブックカバーやバーコードなどの装丁費、送料などは含まない価格ではないかと指摘した。
さらに、装備の経費は総額738万5000円、冊数で割ると単価が211円、輸送費が1冊当たり11円で、「合計222円が本の単価に上乗せされるんだというふうな報道もある」と、当サイトが16年6月4日付記事でスクープした数字を挙げて「これは間違っているか?」と問いただすと、担当課長は渋々事実だと認めた。
続けて、本の単価に足すと1142円になると試算し、武雄市のケースより1.5倍近い金額に跳ね上がることについて、「言い値で買わされたのではないか」と攻め寄り、担当課長は苦しい答弁を強いられるかたちとなった。
「実際に購入するに当たって、受け入れたいものとして、こちらから案を提出することは非常に困難な状態でした。今までですと、各分野における蔵書数の偏りを是正する必要がありました。それには相当な労力がかかると理解しており、人件費がかかることは無視できないと考えています」
このように、選書の労力を考慮すると、高くなっても仕方がないといった趣旨の回答をした。
さらに、市場で100円とか300円で売られている本を高く買わされたのではないか、との指摘については、「実際、それを輸送するとか、いろいろと管理するには経費がかかりますので、一概にそういったものとは比較することができない」との認識を示した。
回答をまとめると、選書には相当な労力がかかり、輸送や管理には経費がかかるため、市場で100円未満のものを920円で購入しても不都合ではないというのだ。