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「傲慢」医師たちの生態…若い頃から「先生」と崇拝され、毎年数十億円の不正生む

文=吉澤恵理/薬剤師
「傲慢」医師たちの生態…若い頃から「先生」と崇拝され、毎年数十億円の不正生むの画像1「Thinkstock」より

 私は、薬剤師になってから25年がたちました。その間、薬剤師として医療現場でたくさんの医師を見てきました。そのほとんどは、「患者を救う」という使命に燃えた立派な医師でした。しかし、わずかではありますが、医師としてのモラルに大きく欠ける人がいたことも事実です。昨今の不正請求や診療上の不正などのニュースを聞き、医療界全体で改善すべき問題だと感じています。

 日本医師会のHPを見ると、トップページに「診療報酬の不正請求の実態とその防止対策」が掲載されています。その冒頭の「保険医療機関及び保険医の責務」に、以下のような一節があります。

「私は、現職に就く前、厚生労働省においてこの指導監査を長年担当してきたが、医師会や厚生労働省の指導等にも関わらず、極僅かな保険医や保健医療機関ではあるが、継続的に不当・不正行為が存在し、その額も毎年数十億円に上るという現実に疑問を感ずると共にその対策に苦慮した。ただ、事実を分析していく過程において感じたことが幾つかあった。

 1つは、単なるミスでは無く不正又は不当と言われる行為を認識しながら故意に行っていた医師がいたということ。2つ目は、社会的ルールや倫理観が欠如していると思われる医師もいたということ。3つ目は、医療保険のルール等について不知に近い医師もいたということ。4つ目は、医師は診療のみを行っていればいいとの考えのもと、請求に関しては全く関与せず事務方に任せっきりにしているところも存在するということである」(一部抜粋/文:向本時夫<福島医科大学医学部医療制度研究センター特命教授>)

 このように、日本医師会でも一部のモラルなき医師の存在を認めているのです。また、その医療上での不当・不正行為による額が毎年数十億円に上るということは、驚愕以外の何物でもありません。知的レベルの高い医師たちが、その事実に気づいているにもかかわらず、なぜ自分たちの手で改善できないのでしょうか。

 当たり前の話ですが、日本の医療制度は、私たちが支払う保険料と税金で賄われています。医療費は2015年に40兆円を超えており、政府は25年には60兆円を超えると試算しています。医療費の増大は、将来、国民皆保険制度を崩壊させる危険性さえあります。しかし、不正請求を行う医師にはその意識が欠如しているのでしょう。行っていない診療内容や検査、処置、手術、投薬などをカルテの上で改ざんし、保険料をだまし取るという行為に罪悪感を持たない医師は、患者に医療を施す資格はありません。

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

Instagram:@medical_journalist_erie

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