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加齢と共に衰える身体の能力は、3位「歩行力」、2位「記憶力」、1位は…?

文=ヘルスプレス編集部
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new_brainmemory.jpg記憶力の低下がやってくる!(depositphotos.com)

 アラフィフ女性(45歳以上54歳以下/Around50)で、自分の身体の衰えのうち、記憶力の衰えによる生活上の不便を実感しているのが約33%、一方、アラフィフ男性は約23%だった。

 記憶力は加齢に伴って確実に衰えるが、女性は男性よりも記憶力の衰えを敏感に感じていることがわかる。

 株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメントは、運営している「Around50コミュニティ」による知見と生活者総合ライフスタイル調査「CORE」のデータに基づいて、アラフィフ女性の意識を分析した『R&D Around50レポート2017』を発表している。

身体とライフステージの激変に対峙するアラフィフ女性

 調査では、アラフィフ女性が記憶力の衰えによって不便を実感するシーンとして、<俳優名や映画名が思い浮かばない><人に話したことを忘れて「前にも聞いた」と言われる><レジのお釣りを貰い忘れる><ドアの鍵をかけたのか記憶がない><説明書を何度も読まないと理解できない><料理や掃除などの家事の段取りを忘れる>などを挙げている。

 しかし、身体の衰えによって実感している不便の第1位は、「視力の衰え」で約56%だ。「記憶力の衰え」は約33%で第2位だった。これに次ぐのが「歩行力の衰え」約21%だった。

 視力の衰えは、老眼による影響と考えられるが、記憶力の衰えも少なくない。視力にも記憶力にも衰えを痛感しているアラフィフ女性の実情が窺える。

 身体とライフステージが激変する狭間に立たされるアラフィフ女性は、更年期障害によるホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、発汗など)の自律神経失調症に襲われ、実生活では子どもの進学・就職、親の介護などにも悩んでいる。

 一方、育児は一段落しているので、仕事、勉強、ボランティア、趣味など、自己成長にチャレンジしたり、人生を再起動できる好機でもある。

 しかし、意欲・情熱と記憶力の衰えとの大きなギャップにも苛まれる。やりたいことも、やるべきことも思い通りにいかないジレンマに焦りが募る。今回の調査は、そんなアラフィフ女性の真摯な感情が素直に表れているように見える。

 しかし、この調査は女性の記憶力の低さを表してはいない。記憶力の低下に対して危機感を持つかどうかの意識調査にすぎない。

言語記憶力は女性のほうが優れている!?

 夫が妻に「おまえ、そんな昔の細かなことよく覚えているな」という、あまりにもありきたりの会話に始まり、喧嘩となると「どうでもいい昔の記憶」を持ち出されて、夫はあえなく降参となる。年をとればとるほど、口喧嘩では妻に勝てなくなってくる。やっぱり、女性のほうが記憶力がいいのではないかとも思える。

 ここに興味深いひとつの研究がある。

 米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のErin Sundermann氏らの研究では、高齢女性では男性よりも言語記憶が維持される傾向があり、そのためアルツハイマー病の早期診断は女性のほうが難しい可能性があるとしている。

 この研究は、同氏が米アルベルト・アインシュタイン医学校(ニューヨーク市)にいるときに実施され、2016年10月5日付「Neurology」オンライン版に掲載された。

 対象は平均年齢73歳の1300人超。被験者のうち約250人はアルツハイマー病、670人は記憶障害などを含む軽度認知障害(MCI)があり、390人には思考や記憶の障害はみられなかった。被験者には全員、15個の単語を見た直後と30分後に思い出す言語記憶テストを受けてもらった。

 さらに脳PET検査も実施し、被験者の脳におけるグルコース(糖)代謝を測定した。脳の糖代謝障害は、アルツハイマー病の特徴としてよく用いられるという。

 その結果、糖代謝障害が同程度であっても、女性の言語記憶力は男性よりも優れている傾向があることがわかった。

 Sundermann氏はこの知見について、「性差に基づき、アルツハイマー病の記憶テストを調整する必要があることが示唆された。アルツハイマー病やMCIでは診断に言語記憶テストを使用するため、女性の診断の遅れにつながる可能性がある」と説明している。

 この結果は、疾患が大きく進行するまでは、女性のほうが「認知的予備力」を用いて脳の潜在的な変化を補っているためだと考えられるという。

 ところで、記憶力に性差はあるのだろうか。確かに男性と女性では記憶の形態や保存のされ方が違うようにも感じるが、明確には説明されてはいない。

 一説によると、女性の脳は男性に比べて、脳の中の脳梁の前にある「全交連」という部分が太くなっているため、脳全体で思考したり言語活動をする傾向があるという。この全交連は感情を司る扁桃体と神経がつながっているので、より感情的になりやすいという。

 つまり、一つひとつの記憶に感情情報が入っているため、より記憶が鮮明になるという理屈だ。人間は物事を記憶する際、感情が入ると覚えやすくなる。なので、全交連が太く感情が入りやすい女性のほうが過去の出来事をよく覚えているというのだ。

『R&D Around50レポート2017』で浮き彫りとなったアラフィフ女性の記憶力の衰えに対する敏感さは、そもそも女性の記憶が感情に裏打ちされているために、その喪失にも感情が動きやすいのかもしれない。

 人間の脳はまだまだわからないことだらけだ。
(文=ヘルスプレス編集部)

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