目薬の量
目薬をさす様子をみていると、一度に何滴も滴下している方をよく見かけます。あらゆる薬には、用法用量が決められています。目薬も例外ではありません。たくさんさせばそれだけ効果があるというものではありませんので、正しい量をさすようにしましょう。
基本的には、点眼一回につき一滴で十分です。目薬一滴の量は、約50µl(0.05ml)となっています。目の中にとどめておける量は20~30µlなので、目薬は一滴で十分ということになります。
さらに、あふれた目薬をまぶたの周りに付着したままにしておくと、かぶれの原因になることもあるので、溢れるほど多量の目薬をさすのはよくありません。
また一日にさす回数も、用法用量を守りましょう。
1時間ごとに点眼している方を見かけることがありますが、点眼のしすぎは涙で運ばれている脂質、ムチン、たんぱくなどの保湿成分や目の栄養分などを目から洗い流してしまうことになります。その結果、目の表面の保湿能力が低下して、余計にドライアイが悪化するという現象も起こります。
目薬も飲み薬同様、過剰に使い続けることで耐性ができやすく、目の場合は耐性ができると涙が出にくくなり、かえってドライアイになりやすいといわれています。
さらに、目薬に添加されている防腐剤などによって角膜を傷つける可能性もあります。目薬をさし過ぎたために眼圧が上がり、失明寸前になったという事例もあります。
2種類以上の目薬をさすとき
2種以上の目薬をさすこともあるかと思いますが、その場合、時間を開けずに続けてさしてしまうと、先に点眼した薬が後から点眼した目薬によって流されて効果が弱くなってしまいます。したがって、目薬をさす間隔を5分ほど開けて、最初に点眼した薬の成分がしっかり浸透してから次の目薬をさすようにしましょう。
「どちらの目薬を先にさしたらよいのかわからない」という方もいらっしゃると思いますが、一般的にはより効果を期待するものを後に点眼するほうがよいとされています。また、粘度が高い目薬があれば、それを後にさすようにします。薬の性質から、必ず最後に点眼すべきものもあるので、複数の目薬を使用する場合は薬剤師等にご相談ください。
手軽に購入できる目薬は、深く考えずに「正しい目薬のさし方」をしていないケースがたくさんあります。また、そもそも、あまり目薬に頼らず、まずは目を休めることが大切です。
(文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士)