お笑い芸人の庄司智春(品川庄司)が5月10日『ノンストップ!』(フジテレビ系)で、寄生虫のアニサキスによる食中毒の体験を語り、大きな話題となりました。タレントの渡辺直美も先月、同様にアニサキス中毒にかかったと明かしており、生魚を食べることに対する危険は増しているのが現状です。アニサキスは寄生虫で、ここ10年で食中毒患者は20倍にも増えたとの報道もあります。
日本人は、「何を食べに行きたいか」と質問すると、多くが「寿司」と答えるほど魚の好きな国民です。ちなみに私は、魚のなかで鯖が一番好きです。刺身、酢しめ、焼き魚、煮魚など、どれも好きな料理です。しかし、鯖を食べて中毒を起こした経験のある方は、それ以来、鯖を食べなくなることが多いようです。
魚を刺身、しめさばなどで食べるときには、鮮度がいい状態で調理することが大切です。魚の内臓には、必ずアニサキスがいるという潜在的危害を認識すべきなのです。食べるときにも、その潜在的危害を認識して、よくかんで食べることが必要です。
1匹の魚をまるごと販売するスーパーでは、魚をラップに包まず、氷などの上に載せて陳列していることも多くありますが、このとき温度管理ができていない店舗では、絶対に買ってはいけません。
一方、鯖、サンマ、アジなどを氷水につけて販売している店舗もあります。
サンマやアジ、サバ、ブリなどの青魚には「ヒスチジン」(アミノ酸)が多く含まれています。これらの魚に「ヒスタミン生成菌」が付着すると、ヒスチジンが分解され、魚肉中に多量の「ヒスタミン」が蓄積されます。
そのような状態の魚を食べると、焼く、煮るなどの加熱をしても、じんましんが出る危険性が高くなるのです。このヒスタミン生成菌は、室温で増殖します。つまり、青魚を氷水につけて保管するのは、菌の増殖を防ぐためです。逆に、魚の全身が氷水に浸かっていなければ菌は増殖し、危険極まりない状態といえるのです。
一般的に魚は、獲ったあとすぐに氷で冷やした状態で流通されています。最近は、パウダー状の氷を使用して魚の温度を急速に下げる方法によって、鮮度は飛躍的に良くなっています。
しかし、魚売り場で、氷に全身がつかっていない状態で照明が当たっていると、魚の温度が上がってしまいます。いったん温度が上がってヒスタミンが生成されてしまうと、その後、再度氷水につけてもヒスタミンはなくなりません。
したがって、冷蔵庫、ショーケースを使わず、発泡スチロールの中に氷を敷き詰め、その上に載せられているような魚は購入すべきではありません。
鯖には、鯖アレルギーではなく、ヒスタミン中毒の潜在的危害もあることを忘れてはいけません。
(文=河岸宏和/食品安全教育研究所代表)
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