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六代目山口組系大物組長の惨殺事件に新展開…分裂騒動との関係はあったのか?

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写真はイメージ(© Fotolia 2017)

 まさかあの時、六代目山口組の直参まで昇格し、同団体の中核である三代目弘道会の竹内照明会長とも兄弟分であった二代目愛桜会・菱田達之会長が、あんな残酷な最期を遂げることになるとは知る由もなかった。

 2015年11月15日昼過ぎ、三重県にあった菱田会長の「別宅」と呼ばれていた施設で、菱田会長が鉄パイプのような物などで撲殺されているところが見つかったのだ。神戸山口組分裂の動向に注目が集まるなか、かつて多くの極道が衝撃を受けたこの殺人事件に、先日、大きな進展があった――。

 今から約5年前。自身の親分に仕え、名古屋市にある六代目山口組・司忍組長宅、通称「本家」へと当番(泊まり込みで雑務をこなすこと)に入っていた時のことだ。1泊2日の本家当番は何事もなく過ぎていったが、我々と入れ替わるように午後11時前に次の当番のために本家二階の入り口を開けて入ってきたのが、二代目愛桜会の菱田会長であった。

 菱田会長は、初代愛桜会・橋本達男会長の実子といわれる人物。それが発覚したのは、菱田会長がまだ初代愛桜会の三次団体幹部の頃だったようだが、一説には、DNA鑑定を行って親子関係が証明されたという。

 そこから菱田会長はめきめきと頭角を現し、橋本会長の後を継いで、二代目会長の座に君臨することになった。こういった背景を面白くないと考えた愛桜会関係者もいたのかもしれない。5月25日、菱田会長を殺害した容疑で逮捕された元愛桜会の横本武法容疑者も、そのひとりだったという見方もできるが、本当の動機解明は当局の捜査を待つしかない(この翌日、事件時に横本容疑者を支援したとされる元愛桜会組員も逮捕された)。

 話を戻す。本家当番にやってきた菱田会長は、従えて連れてきていた同組幹部2人に「当番代わったれ」と、まだ交代の時間前だというのに筆者に細やかな気配りを見せてくれていたことが思い出深い。

菱田会長による絶縁処分が引き金に?

 菱田会長は、その頃にはすでに三代目弘道会・竹内会長と兄弟分であったのだが、竹内会長は六代目山口組の直参に昇格する前で、二代目弘道会若頭という立場であった。だが、2人の仲は座布団(肩書)の垣根を超え、兄弟分の絆で結ばれており、三重県から本家当番へとやってきた菱田会長のお供の手には、竹内会長への手土産が持参されていたのだ。

 決して配下の若い衆に対しても偉そうにすることがないように見えた菱田会長であったのだが、身内に対しての躾(しつけ)が厳しいことは有名で、それゆえか、菱田会長を批判する内部告発的な怪文書が撒かれたという噂があった。また、配下組員に対しての会費の吸い上げの厳しさが問題視され、六代目山口組首脳陣から叱責を受けた過去があるという噂も出たことがある。

 もちろん、これらが事実かどうかはわからないが、一昨年に非業の死を遂げた菱田会長に対して、早い段階から内部犯行説が囁かれていたのは、こうした情報が流布していたことが一因といえるのではないだろうか。

 今回、逮捕された横本容疑者は、愛桜会内でも「うるさ型として知られた人物だった」と地元捜査関係者が語っている。その横本容疑者を菱田会長が絶縁処分にしたことが、事件の引き金となってしまったのだろうか。

「菱田会長の死には、竹内会長も相当、心を痛められていたはず。一昨年の山口組分裂時に菱田会長は、『このケンカは三重で止める(神戸山口組サイドが関西を中心に結成されていたことから、弘道会の本部がある名古屋市に勢力拡大してくる前に、愛桜会の拠点である三重県で食い止めるという意味)』と公言していたほどだ」と地元関係者は語っている。

 空前絶後の六代目山口組分裂という悲劇後、同団体の傘下だった三代目倉本組・河内敏之組長は自決し(六代目側、神戸側、どちらか一方につくことを良しとせず、自死を選んだとの見方がある)、菱田会長は惨殺された。菱田会長の事件は横本容疑者の逮捕により、分裂騒動とは直接的な因果関係はなさそうだが、仮に分裂という事態がなければ、また違った結果となっていたかもしれない。

 5年前、帰り仕度を終え本家を後にする際、菱田会長に「叔父さん、ご苦労様です。失礼します」と挨拶したのが、なぜかついこの間のように思い出されてならない。
(文=沖田臥竜/作家・元山口組系二次団体幹部)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
元山口組二次団体最高幹部。所属していた組織の組長の引退に合わせて、ヤクザ社会から足を洗う。以来、物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。去年10月、初単行本『生野が生んだスーパースター 文政』(サイゾー)を刊行。山口組分裂騒動の詳細を記録した『菱のカーテンの向こう側~2015-2016山口組分裂全記録』(同)にも執筆協力している

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