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杉江弘「機長の目」

危険なLCCが日本の空を飛んでいる…相次ぐ事故、機体検査未実施、パイロット疲弊

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「Thinkstock」より

 LCC(格安航空会社)に関する書籍が書店に並んでいるが、それらは運賃やサービス、利便性などに関する記述ばかりで、安全性について具体的に論評したものは見かけない。そのため、LCCの安全性について利用者は使用機材が新しいことにわずかな安心感を持ちつつも、なにかモヤモヤした気持ちでいるのではないか。

 実際、日本にも乗り入れている韓国のLCCが半ドアのまま飛行を続けたり、台湾のLCCで多くの機長が業務中に居眠りしている様子を見せられると、やはり低運賃の裏には何か危険があるのではないかと感じてしまうのも無理はない。

 そこで、日本のLCCをみてみると、数名のパイロットが病気になっただけで大量の便が長期間キャンセルになり、無理な運航への疑念が生じた事例がある。以下は、ここ数年に国内で起きたLCC各社のトラブルの一部である。



 しかしこのような状態であるにもかかわらず、残念なことにLCC各社は十分な反省と再発防止策を講じているとは思えない。直近でもバニラ・エアで着陸後に機長が、「もしゴーアラウンド(着陸をやり直すために再上昇すること)になっていたら落ちていたかも」と漏らしていたと同乗のCAが証言した。

 私はその証言内容もさることながら、現役のCAが職をかけてまでメディアに告発したことを重く受け止めている。実際に現在バニラ・エアではパイロットの勤務がかなりきつくなっている。当該CAはそのようななかで乗務する危険を感じたのではないだろうか。

疲弊するパイロット


『乗ってはいけない航空会社』(杉江弘/双葉社)
 パイロットの勤務状況は世界的なパイロット不足のなかで年々厳しくなっており、大手の日本航空(JAL)でも先ごろ年間最大乗務時間を、これまでの900時間から960時間に引き上げた。LCCでは一日に5LEG(5回)のフライトもあり、便が到着してから次の出発まで25分しかないこともある。

 私もグループ会社でこのような勤務を体験したが、5LEG目の着陸ともなると集中力がどうしても落ちるのを感じていた。便間25分の地上滞在時間では定時出発のために外部点検から機内に戻って、CAが行う機内清掃やベルト揃えの作業を手伝うのも日常茶飯事だった。

 このような環境の下、私が今心配していることは、パイロットが疲労から事故を起こさないかということだ。幸いこれまで全損事故に至った例はないが、その大きな理由は、運航がJALや全日本空輸(ANA)を退職したベテラン機長によって支えられてきたことによる。

『乗ってはいけない航空会社』

雑誌やテレビで取り上げられる“エアライン・ランキング"を信じてはならない――。
“ジャンボ機乗務時間世界一"の元JAL機長が、安全性のランキングは実態と大きく違うと警鐘を鳴らす。
本当に安全な航空会社はどこか、乗ってはいけない航空会社はどこなのか。
「本当のエアラインランキング(トップ20&ワースト15)」もズバリ指摘する、本音の航空会社論。
飛行機を利用するすべての人に。

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