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突如、本部事務所を閉鎖した神戸山口組の思惑、任侠は「49日」、六代目は今年も「ハッピー・ハロウィン」…それぞれの10月

文=沖田臥竜/作家
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突如、本部事務所を閉鎖した神戸山口組の思惑、任侠は「49日」、六代目は今年も「ハッピー・ハロウィン」…それぞれの10月の画像110月30日、定例会が行われる古川組本部に向かう任侠山口組組員たち

 数々の逮捕者を出した10月の「暴力団取り締まり強化月間」も終わろうとしていた同月29日、ある事案が動いた。公益財団法人の事務所が置かれ、かつ神戸山口組本部としても使用されていた兵庫県淡路市の俠友会事務所について、地元住民の声を代表するかたちで使用禁止の仮処分を神戸地裁に申し立てていた件だ。

 すでに一部では報じられているが、申し立てられていた俠友会サイドが自主的に事務所を閉鎖させる通知を関係者らに回状したのである。それによれば10月25日の時点で、すでに閉鎖させていたという。これに対して、「地裁の判断が下る前に、面倒を避けるため先手を打ったのではないか」という捜査関係者の声を紹介する報道もあった。

 神戸山口組は同本部で月に一度開催してきた定例会を行っていただけに、今後運営上でなんらかの支障をきたすのではないかという声もあるようだが、著者自身の勝手な憶測を述べれば、この閉鎖で組織内に動揺を招くような出来事はまずないのではないかとみている。

 10月2日に使用禁止の仮処分を申し立てられた時点で、神戸山口組側に厳しい判断が下る可能性は予測されていたであろうし、そういった事態を見据えた上で、すでに今年4月に神戸市二宮に事務所を新設させていたとも考えられる。

 現に二宮の神戸山口組事務所では、定例会こそ開催されていなかったものの、執行部会などはたびたび開催されていた。また、虚偽登記の疑いで逮捕されていたももの、30日に釈放された神戸山口組若頭である寺岡修・俠友会会長らは、やはり二宮の事務所で神戸山口組の井上邦雄組長ら首脳陣の出迎えを受けているのだ。

 本部を封鎖させた俠友会単体で見ても、多少の連絡事項のやり方などの変化はあるかもしれないが、それが即、運営に支障をきたすことにはつながらないはずだ。そもそも、俠友会が本部を移転させるのは、これが初めてではない。筆者がまだ現役だった頃、一時的に、本拠の淡路島から俠友会傘下の名門組織、諏訪一家(西宮)に本部を移転させていたこともあった。

 そのほかにも、俠友会は有力な傘下団体が屋台骨を支えており、事務所閉鎖で組織が揺れ動くとは考えられない。

任侠山口組の定例会が30日に行われた訳

 先述したように30日に俠友会の寺岡会長が釈放されたのだが、ちょうど同じ頃、任侠山口組の定例会が尼崎に本部を置く古川組で開催されている。4月30日の結成後、毎月28日に開催された定例会だが、今回は30日に行われている。その理由として「9月に起きた織田絆誠代表襲撃事件で、身を盾にして織田代表を守って命を落とした組員の49日法要に合わせて開かれた」と関係者らは話している。

 今回の定例会には、10月1日に任侠山口組へと加入した三代目大平組(組長が服役中のために代理出席)、17日に本部長補佐として加入した北海道絆連合会、28日に直参へと昇格を果たした二代目輝侠会のトップらの姿もあったという。また、初代輝侠会の加茂輝幸会長は、病気療養のために引退したことはこれより数日前に通達されていたようだ。

「加茂会長の引退の噂は、9月の段階で加茂会長が本拠として活動していた京都では話題に上がっており、京都府警が掴んでいたのは事実。その詳細を確かめるために、前回の任侠の定例会では京都府警も姿を見せていた」(報道関係者)

 明けて31日には、六代目山口組の恒例行事のひとつ「ハロウィン」が今年も総本部のある神戸市灘区で行われ、近隣住民の子供たちに組員らからお菓子が配られた。

 2年前の六代目山口組分裂時には、地域住民への配慮から取りやめられたが、その中止を知らせる貼り紙には「来年は必ず行う」と記されており、その通り、翌年にはハロウィンの行事を開催させている。

 まだ山口組がひとつだったころ、某有力団体の若頭が2年連続でハロウィンの日にガレージ当番にあたり、このようなことを朗らかに口にしていた。「『トリック・オア・トリート』って子どもたちに言われたら、『ハッピー・ハロウィン』って答えて、お菓子を渡したんのやな」と。

 10年も15年も前の話ではない。つい5、6年前の話なのだが、まさか数年後に山口組が3つに割れるなど、この時は誰が想像できたであろうか。さらに、この後の展開を予想することなど誰にもできない。そんななかで、“3つの山口組”から大量の逮捕者を出した、暴力団取り締まり強化月間の10月は幕を閉じたのである。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新小説『忘れな草』が発売中。

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