希望の党の共同代表選が11月10日に行われた。投票したのは53人の衆参議員。玉木雄一郎氏(48)が39票を獲得して、初代の共同代表に選ばれた。大串博志氏(52)は14票。2人とも財務省の元官僚だ。玉木氏は「改革マインドのあふれる集団の先頭に立つ」と抱負を語ったが、任期は2020年9月まで。それまで希望の党が現状のまま存続すると考えている関係者はほぼ皆無に近いという。
玉木氏を支持したのは細野豪志・元環境相、長島昭久・元防衛副大臣ら希望の党の結党メンバー。玉木氏は「小池路線」を踏襲することになる。一方、大串氏を支持した14人は民進党からの合流組。希望の党内の反主流派として残るのか、それとも衆院の「無所属の会」と連係して新しい集団をつくるのか。1年以内に分裂は不可避との見方がある。
希望の党の混迷ぶりを振り返っておこう。民進党の前原誠司代表(当時)と一緒に希望の党への合流を進めた民進党幹事長の大島敦氏が希望の党共同代表になる案が白紙に戻った。希望の党結党メンバーから「初代の共同代表を暫定とするのは理解できない」と反発が広がったためだ。結党メンバーで今回の衆院選で勝ち上がってきたメンバーは数少ないが、こうした人々と民進党からの移籍組の思惑の違いが早くも表面化した。大島氏はとりあえず幹事長に就任し、政調会長を兼務した。この過程で小池百合子代表のお友達、樽床伸二代表代行の共同代表就任に、民進党からの合流組が難色を示したことも明らかになった。玉木氏が初代共同代表になったことから、大島氏の幹事長続投の線は消えた。
玉木氏は10月26日夜のBS日テレの番組で「11月に代表選を実施すべきだ」と主張。「党を担う気持ちはある」と意欲を示した。希望の党の規約では共同代表は代表の小池氏が指名することになっていた。これを選挙で選出する方法に変更するため、大島幹事長の下に規約の検討委員会を設置。規約の改正を経て11月10日、共同代表選を実施し、正式に共同代表を選出した。
共同代表の人選では、結党メンバーの細野豪志氏の名前が挙がったが支持を得られなかった。暫定的な人事だから前原氏に近く合流に尽力した大島氏でいいのではないかということでいったんは落ち着いたように見えたが、安易だった。「希望への合流に失敗したA級戦犯が前原なら、大島はB級戦犯だろう」(落選した旧民進党議員)との批判もある。もし、選挙の結果、玉木氏が共同代表になったら、希望の党を離党する議員が増えそうだと、すでにこの時点で囁かれていた。