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五代目山口組・渡辺組長の命日は因縁含み?今年も神戸山口組事務所に「がさ入れ」で緊張が走る

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神戸市灘区の六代目山口組総本部内にある、歴代組長の供養塔

 2012年12月1日、著者はガレージ当番(総本部駐車場のシャッターの開閉や車の誘導を行う守衛のような役割で、各組が持ち回りで行う)のために神戸市灘区にある山口組総本部に入っていた。土曜日ということもあり、総本部に出入りする車両も平日と異なり少なく、ある意味、穏やかな時間が流れていた。

 それが、ガレージ当番の詰め所に設置された固定電話の呼び出し音が鳴らされたのをきっかけに、辺りが一気に慌ただしくなった。電話を鳴らしたのは、総本部に詰める部屋住み組員だった。

「執行部車両が入りますので、ガレージのシャッターを開放してください」

 最高幹部らが乗る車両が入る時は、このように事前に部屋住みから連絡が入り、前もってシャッターを開けて、スムーズに入庫してもらうのが通例だ。だが、緊急事態でも起きない限り、土日や祝日に突然、最高幹部が総本部にやってくることはまずない。

「何かあったのか?」

 著者をはじめ、ガレージ当番にあたっていた組員たちはざわついたが、その後に渡辺芳則五代目組長が逝去されたという訃報を知らされた。

 その3日後の12月4日。著者は自身の親分に付き従い、山口組会館(現・エターナルベルサイユ)で執り行われた渡辺五代目組長のお通夜に参列させていただいていた。

 のちに、このお通夜での六代目山口組幹部らの対応が、故人に対してぞんざいだったのではないかと山口組内の一部勢力から声が上がり、神戸山口組の結成の一因になったとも取り沙汰されることになる。

 渡辺五代目組長は、1989~2005年という17年もの間、山口組を率いた親分で、出身母体は山健組。一方、司忍六代目組長や高山清司若頭は弘道会出身。一時は「山健にあらざれば山口にあらず」と評されたほどの強力な体制が、六代目に移行後に大きく変化。そこから生まれる数々の問題や軋轢が、山口組分裂の根底にあるといわれてきた。

 渡辺五代目組長のお通夜でも、そうした状況を受けて不穏な空気が流れたということなのかもしれないが、著者自身はただただ緊張しながら、故人となられた渡辺五代目組長のお棺に拝顔し、祭壇に御焼香をさせていただいた。

今年の命日に起こった当局との騒動

 それから3年後となる一昨年、六代目山口組は分裂。渡辺五代目組長の命日である同年12月1日には、六代目山口組最高幹部の極心連合会・橋本弘文会長の離脱説が飛び交った。さらに去年の命日は、渡辺五代目組長が眠る神戸市内の霊園で、先に来ていた六代目サイドと、後から訪れた神戸山口組サイドが偶然にも鉢合わせる事態となり、一瞬緊迫したといわれている。

 そうしたなか今年の命日は、神戸山口組・井上邦雄組長ら最高幹部が墓参に訪れ、六代目山口組サイドは総本部で祥月命日を執り行い、両陣営がニアミスすることもなかった。また、井上組長ら神戸山口組最高幹部は、例年よりも少人数で墓参したことが、警戒にあたっていた地元捜査関係者らに確認されているという。

「現在、渡辺組長が眠る霊園は、他の霊園よりも暴力団排除条例の機運を受けており、団体での墓参には神経質になっている。六代目山口組も神戸山口組もそれらを考慮したのではないか」(地元関係者)

 だが、同日にトラブルは起きた。それは、井上組長らが墓参を済ませた後の午後1時に、愛知県警が神戸市二宮にある神戸山口組事務所に家宅捜索をかけたことが発端だった。ちなみに、11月30日に詐欺の疑いで逮捕された神戸山口組二代目黒誠会・剣政和会長の関係先として捜査だ。

 家宅捜索に訪れた捜査員が、居合わせた最高幹部をはじめとする9人の直参組長らのボディーチェックをし、さらに携帯電話を押収しようとしたことから険悪な雰囲気になり、愛知県警が兵庫県警に応援を要請する事態にまで発展した。

 最終的には、最高幹部らが事務所から退出することで折り合いはつけられたのだが、居合わせた組員らが家宅捜索の立会いを拒否。地元消防署長が急遽、立会うことになったという。

「家宅捜索には、立会い人が居なくてはなりません。普通は被疑者や捜索先の関係者、親族などが立会うのが一般的ですが、そうした適当な立会い人が存在しない場合、地元の消防署長が立会うことのできる権限を持っています」(刑事事件に詳しい法曹関係者)

 昨今の家宅捜索時に、居合わせた組員らの携帯電話を押収することについても、こういった見解を示している。

「捜索令状の中に、最近では携帯電話の押収を裁判所に求めるケースが当たり前になってきました。特にヤクザ事務所や関係先などの家宅捜索には、『居合わせた関係者に対しても携帯電話を押収してもよい』とする旨の一文が添えられています」(同)

 当局が携帯電話押収にこだわる理由。それは受発信の履歴から、事件に関連するやりとりがないか、また交友関係を探りたいというものだろう。先日、任侠山口組・織田絆誠代表邸が家宅捜索をかけられた際も、織田代表は京都府警に携帯電話を押収されていると関係者らは話している。だが、事件の当事者ならまだしも、捜索先に居合わせたというだけで個人情報の塊である携帯電話を押収されては、たまったものではないという言い分があるのも当然だ。

 渡辺五代目組長の逝去から5年。山口組内部は劇的に変化し、それを取り巻く当局や社会の姿勢も確実に変わってきているようだ。
(文=沖田臥竜/作家・元山口組二次団体幹部)

●沖田臥竜(おきた・がりょう) 元山口組二次団体最高幹部。所属していた組織の組長の引退に合わせて、ヤクザ社会から足を洗う。以来、物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任俠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)。最新刊は『尼崎の一番星たち』(同)。

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