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空港も下水道も…公共施設が外資系ファンドに乗っ取られる恐れ:国の規制緩和が後押し

文=小川裕夫/フリーランスライター
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空港も下水道も…公共施設が外資系ファンドに乗っ取られる恐れ:国の規制緩和が後押しの画像1「Thinkstock」より

 高度経済成長期に整備された地方自治体のインフラが、一斉に寿命を迎えようとしている。首都高速道路の1号線が開通したのは1962年。すでに50年以上が経過している。東京都23区内の上下水道は、昭和40年代にほぼ整備が完了している。地域によって差はあるものの、それらも供用開始から50年前後が経過した。

 道路をはじめとする鉄道設備、空港施設、橋梁、トンネル、上下水道といったインフラはマメに定期点検をすることで長寿命化するといわれる。国土交通省は、インフラを通常の基準より短いサイクルで点検することを管理者に推奨している。定期的にメンテナンスを実施すれば、インフラは長寿命化する。新たにインフラをつくるよりも、長寿命化させるほうが安上がりになるからだ。

 しかし、国土交通省の思惑通りにインフラを頻繁にメンテナンスできる地方自治体は少ない。なぜなら、頻繁にメンテンナンスを実施すると、一時的にインフラにかかるコストが増大するからだ。地方自治体を所管する総務省の職員は言う。

「本来、メンテナンスをマメにするほうがコスト的に安上がりであることは市町村もわかっています。しかし、過疎化が激しく進行している市町村ではインフラの保守管理・点検に割ける財源的余裕がありません。人口が少ないので自動車等の交通量も少なく、少しぐらい道路がデコボコでも我慢して使おうという市町村は多いのです」

 少額のメンテナンスコストでも、財源の厳しい市町村にとっては重い負担になる。そうした思惑から、財政の厳しい市町村はインフラのメンテナンスを後回しにする傾向が強い。

 メンテナンスを後回しにすることで一時的に支出も先送りできるものの、定期的にメンテナンスをされないインフラは急速に老朽化してしまい、新造するしかなくなる。そのため、結果的にメンテナンスコストよりも莫大な更新コストがかかってしまうのだ。

「総務省としても『財源が厳しい市町村にこそ頻繁なメンテナンスをするように』と推奨しているのですが、どうしても目先の財源論の話になってしまい、インフラのメンテナンスがおざなりになっているのです」(同)

民間資金の導入

 今般、東京などは五輪開催を目前に控え、都市開発が盛んに進められている。官のみならず民間による再開発が活発化している東京と、地方とではまるで事情が異なる。

 そうした財政的に困窮する市町村を救済する手段として、政府は事前から策を練ってきた。1999年には、PFI法を施行。同法は、これまで官の分野だった公共施設などに民間資金を呼び込むための法律だ。例えば、山口県美祢市の刑務所はPFIを活用して建設。次世代型の刑務所として脚光を浴びた。

 PFI法を施行後も、政府は段階的にPFIの適用基準と範囲を緩和。その対象分野を拡大し続けてきた。PFI法の適用基準が緩和されたことで、私たちの生活に直結する上下水道などにも民間手法・民間資金が導入されるようになった。すでに多くの自治体では水道事業は民間事業者に委託されるようになり、静岡県浜松市では日本初の下水道事業の民間委託化を実現している。

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