近年、日本の不動産市場は金融化するとともに国際化した。個人、企業、あるいはファンド単位で外国から流入してきた資金が、日本の不動産市場で一定のプレゼンスを持ったプレイヤーに成長したのだ。それだけに、海外の不動産市場の影響も受けやすくなっている。
2018年は、海外からの影響で日本の不動産市場に下落圧力がかかる可能性がある。
まず、日本が不動産といわず経済全体でもっとも影響を受けやすいアメリカについて。
表面的に、経済はかなり好調だとみていい。トランプ減税の影響が広がると、さらにその好調さが加速される、という見方も出ている。そうなれば当然、不動産市場にも好ましい影響をもたらすだろう。
しかし、2008年のリーマンショックにつながったサブプライムローン問題は、不動産カテゴリーから発生している。今、アメリカの住宅市場はどうなっているのか。
もっともよく使われる「S&P/ケース・シラー・全米住宅価格指数」という指標では、アメリカの住宅価格はここのところかなり安定した上昇を続けている。すでに08年を上回った水準に達しているのだ。つまり、見方によってはバブル状態かもしれない水準。
一方、不動産市場に大きな影響をもたらすのは金利。17年は3回の利上げが行われたが、18年もFRB(米連邦制度理事会)は同様に3回の利上げを行う見通しだと伝えられている。これは、いわゆる金融引き締めである。不動産市場にとってはマイナス要因。アメリカの家計債務は、すでにリーマンショック時を上回っている。何かのきっかけで世の中の流れが変わると、これらが短期間に第2のサブプライム化する可能性もある。
このように、アメリカの不動産市場はかなり危険な水準まで上り詰めた状態とみなすことができる。
さらに、世界の不動産市場に大きな影響を与えるのは、イギリスのロンドン。ロンドン五輪開催前後の16年には絶好調と伝えられていた不動産市場は、17年の半ばには早くも変調をきたしていた。指標となる「英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数」は、16年の10月には30であったものが、17年の10月には0にまで落ちている。また、まだ竣工していないタワーマンションの住戸が大幅な値引きで取引された、という報道も伝えられた。ロンドンではすでにバブルの崩壊が始まったと考えてもよさそうだ。問題は、この影響がいつ日本に及ぶかということだろう。