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アベノミクス、3大リスク同時発生の可能性…安倍内閣総辞職・米国のイラン攻撃・債券下落

文=斎藤満/エコノミスト
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アベノミクス、3大リスク同時発生の可能性…安倍内閣総辞職・米国のイラン攻撃・債券下落の画像1安倍晋三首相(左)(写真:AFP/アフロ)

 今年の1月まで連騰記録をつくるなど好調を維持した株式市場が、2月以降はにわかに不安定になり、東京市場も1月の高値をいまだに下回る苦戦を余儀なくされている。米国発の長期金利上昇、ドナルド・トランプ大統領による貿易戦争などが重石となっているが、マクロの経済環境や株式需給は悪くない。少なくとも、まだ「晴れ」領域にある。

 4月27日に公表された日本銀行のいわゆる「展望レポート」によると、日銀は2018年度の実質成長率を1.6%と前回1月の1.4%から引き上げ、19年度も0.7%から0.8%に引き上げた。半面、物価見通しは18年度を1.4%から1.3%に引き下げ、引き続き大規模緩和を続ける方針を示した。株式にとって、日本のマクロ経済環境は引き続き「晴れ」となる。

 日本経済に大きな影響を持つ米国経済はFRB(連邦準備制度理事会)が過熱を懸念するほど好調で、これを反映して長期金利が一時3%台まで高まった。この金利上昇が米国株には重石となっている面があるが、日本経済から見れば輸出市場として好調を続けている。3%まで上昇した長期金利も実体経済においてはまだ低すぎるくらいで、これが米国経済を圧迫する度合いは無視できる。

 減速が懸念された今年1~3月の米国GDP(国内総生産)も予想を上回る年率2.3%成長となり、この1年では年率2%台後半となり、期待インフレ率も2%台となっている。つまり、実体経済の面から見れば10年国債利回りは4%台でもおかしくない。現在の3%前後の金利水準は、今の米国経済の実力からすると決して圧迫要因ではなく、まだ上昇余地が少なくない。

 この好調な米国経済を受けて、為替市場では一時の円高懸念が後退し、ドル円は大型連休前に109円台まで戻してきた。これは企業が想定する円レートよりもやや円安水準にあり、このレベルなら企業収益にはプラス要因と見られる。マクロ経済は引き続き良好な環境が見込まれる。

 ミクロ面についても、たとえば足元の日経平均株価では、そのPER(株価収益率)が13.12倍(4月25、26日)で、平均的な水準と見られる14~16倍の水準より、まだかなり低い。仮にPERが15倍くらいに上昇するとすれば、日経平均株価は2万5000円前後になる計算だ。調整を要するほど株価が高すぎるわけではない。

 企業決算も、3月までの円高の影響で利益が下振れした企業も見られるが、ここまでは全般に良好な内容となっている。つまり、マクロとミクロの両面から、経済環境は株式市場にとって当面「晴れ」の領域が広がっていることになる。しかし、そのなかでいくつか「雷雲」が発生しつつあり、その影響が一部に出始めているだけに、今後どう広がるのかは注意が必要だ。

米国長期金利の市場攪乱

 雷雲のひとつが、米国で発生した長期金利の上昇だ。前述のように、これが米国の実体経済に与える影響は軽微で、30年の住宅ローン金利が昨年のボトムに比べて0.6%あまり高くなっているが、住宅建設への影響はまだ限定的である。むしろ、長期金利の急激な上昇が債券価格の下落を通じて投資家にリスクを取りにくくしている面がある。

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