泥船から逃げ出すのはネズミだけではない。スルガ銀行は5月15日、決算発表と同時に社外取締役・監査役の異動を発表した。
社外取締役で元マイクロソフト社長の成毛眞氏が6月28日の定時株主総会で退任する。ハーバードビジネススクールでMBAを取得し、マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナー(役員)だった大石佳能子氏も退任する。
2人とも岡野光喜会長兼CEOに招聘されて社外取締役になった。
スルガ銀行は岡野氏以下、取締役の任期が1年であるため、任期いっぱい務めたことにはなるが、実態は泥船から逃げ出した大きなネズミなのではないか。大石氏は江崎グリコ、参天製薬、資生堂の社外取締役を務めているが、スルガ銀行以外は続投するのだろうか。
成毛氏はインターネット上などで盛んに情報発信しているが、スルガ銀行の社外取締役に就いていることは、ほとんど触れていない。特に「かぼちゃの馬車」問題については情報発信していたか確認できない。
新たに社外取締役になるのは木下潮音氏。社外監査役からの横滑りである。木下氏は弁護士で東京大学法科大学院客員教授。2011年6月からスルガ銀行の社外監査役を務めている。東京工業大学の副学長でもある。
もうひとりの社外取締役は河原茂晴氏。ソニー出身で、KPMGあずさ監査法人代表社員を経て公認会計士河原茂晴事務所代表。日立キャピタルの独立社外取締役にも就いており、一橋大学CFO教育研究センター特別補佐でもある。
3人目の社外取締役は長野聡氏。日本銀行考査局調査役、北九州支店長などを歴任した。2018年2月に日本銀行を退職。弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所の弁護士である。
既存の社外取締役である安藤佳則氏は続投のようなので、社外取締役は現在の3人から4人へと1人増える。安藤氏は三菱重工業の出身で、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、A.T.カーニーのアジア・パシフィック代表。
社外監査役には島田精一・元三井物産副社長、日本ユニシスの元社長兼CEOがいるが、続投とみられる。