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垣田達哉「もうダマされない」

安倍政権、町の飲食店等にも全工程の衛生監視・記録を義務化…現実無視で多大な労力強制

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表

 次に、重要管理のポイントでは、3つのグループ5つに分類されたメニューについても、それぞれ決められたことをチェックする。そして最終的に、チェックしたことを確認して記録を取らなければならない。

 一般的な衛生管理では、横軸に(1)原材料の受け入れ確認から(4)-2までの7項目+日々チェック欄+特記事項+確認者欄、縦軸に1日から7日までの1週間の記録表をつくり、各項目を確認した結果を「良・否」どちらかに○をする。日々チェック欄にはチェックした人の名前を記入、何かあれば特記事項に記入、そして1週間分を確認者がチェックして日付と名前を記入する。重要管理でも、同じような記入表にメニューごとに記録をする。

中小企業いじめ

 こうした確認事項及び記録は、飲食店にとっては当たり前のことかもしれないが、毎日ここまで細かくチェックしている小規模事業者は少ないだろう。しかし、記録する必要がある。事業者のなかには「長年の経験と勘で『こうすれば問題ない』という信念で商売をしている。いちいちチェックして記録するなんて面倒でできるわけがない」という人も出てくるかもしれない。

 しかし、法律で義務付けられれば、こうしたことをすべて実行しなければ商売ができなくなる。保健所が調査に来た時に記録がなければ、実施したとは認められない。「忙しいのに、いちいち記録なんかしていられるか」では、食品衛生法違反に問われることになる。しかも、導入しなければならない期限は、2020年の東京オリンピックまでになる可能性がある。「安全な東京、日本」をアピールする狙いがあるからだ。

 厚労省は「新たな設備を入れる必要はない」と言っているが、少なくとも冷凍庫や冷蔵庫内を図る温度計は必要だ。チェックし記録する手間もかかり、もちろんそれなりの費用も発生する。
 
 中小企業いじめとなる法律改正の可能性があるのに、何が義務で、いつまでに実施するのか、誰が認証するのか等、国会では具体的な議論がほとんどされていない。「後継ぎもいないし、そんな面倒くさいことをやらなきゃいけないなら商売をやめる」という企業や個人事業主が続出しなければいいのだが。
(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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