元国税局職員、さんきゅう倉田です。好きな粉ものは「広島風お好み焼き」です。
7月25日、NHKが『たこ焼き売店 1億3000万円余を脱税か 国税局が告発』と報じました。
大阪城の天守閣そばにある売店の72歳店主が、たこ焼きなどの売り上げで得た所得を申告せず1億3000万円余りを脱税したとして、大阪国税局から告発されました。外国人観光客の増加で、爆発的に売り上げを伸ばしていたということです。告発されたのは大阪城公園の一角にある売店「宮本茶屋」を経営している大阪・西成区の宇都宮タツ子店主です。
このような零細っぽい、日銭を現金で稼ぐようなイメージの業種が、脱税で告発されることはまれです。実際に、去年の脱税は建設業と不動産業だけでしたし、それらは取引金額がとてつもなく大きいのが特徴です。
たこ焼き店の規模で、脱税と認定されるほどの金額を積み上げるのは、並々ならぬ商売力がないと不可能です。相当立地が良く、味も評判も良かったのでしょうか。今回は、このたこ焼き店の脱税について解説します。
店主は、大阪城天守閣に通じる門の前で、たこ焼きを販売する売店を営んでいたそうです。たこ焼き以外にも、焼きそばやソフトクリームなどを販売。たこ焼きの値段は8個600円でした。
この売店では、3年間に5億円以上の売り上げがありましたが、確定申告はしておらず、もちろん納税も怠っていました。1年間の売り上げが1億7000万円とすると、ひと月1400万円弱です。たこ焼きだけだと1日当たり700セット、計5600個以上のたこ焼きを売っていた計算になります。
大阪国税局は3億3000万円の所得を隠し、1億3200万円を脱税したとして告発しました。報道では、容疑は所得税法違反となっています。しかし、たこ焼き店の取引は課税取引なので、消費税がかかります。600円のたこ焼きにも消費税が含まれています。2500万円程度の消費税の納税が必要なはずですが、こちらが報道されていないのは、消費税については脱税ではなく、単純な無申告として処理されたのかもしれません。
さらに、延滞税や重加算税、無申告加算税は6000万円を超えると考えられます。つまり、最終的には2億円以上の納税額となる可能性があります。