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「ソニーはいつ売るべきか」と問い合わせが殺到中!

ソニーが命運賭けるPS4も市場から無視…据え置き型ゲーム機は絶滅危機種?

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無線でできるPS4のコントローラー(「PS4 HP」より)
 据え置き型ゲーム機は「絶滅危機種」――。こんな刺激的な表現をするのがフィンランドのロビオ・エンターテインメントの最高マーケティング責任者、ピーター・ベスターバッカ氏だ。人気を集めた割安なモバイルゲーム「アングリーバード」を開発した自信からか、ゲーム市場の主役交代を、高らかに宣言した。

 国内でも家庭用ゲーム機不要論が出始めた。こんな折も折、ソニーの平井一夫(カズ)社長が勝負に出た。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が据え置き型ゲーム機の新製品「プレイステーション(PS)4」を、クリスマス商戦に投入すると米国で発表した(日本時間で2月21日)。

 2012年4月、ソニーの社長兼CEO(経営最高責任者)に就任したカズは、ゲームを中核事業のひとつと位置付けた。ゲーム部門出身の彼にとってPS4はソニーの救世主とならなければいけない商品なのだ。カズのアイデンティティがかかっている。

 06年のPS3以来7年ぶりの新製品である。高精細な映像で交流機能が付き、複数の人がゲームで対戦したり、自分がプレーしたゲームの映像をインターネットで配信できる。

 ソニーの意気込みの割には、評判は芳しくはない。業績が悪化したソニーが株価対策として新型機の発表を急いだ、との冷ややかな見方さえ株式市場にはある。だが、株価対策としては空振りだった。PS4発売を受けたTOKYOマーケットで、ソニーの株価は前日に比べて1.8%下落した。「PS4の新機能は、幅広い消費者を取り込むにはハードルが高すぎる」(外資系証券会社のアナリスト)と指摘された。PS4はマニア向けの商品というわけだ。まだ、外観や価格などを公表していないが、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)でソーシャルゲームを楽しむユーザーが増え続けており、株式市場は「PS4は先行き苦戦する」と判断した。「著作権上タブー視されてきたゲーム映像のネット配信を標準機能に組み込んだのは、一種の賭けだ」(ソフト会社の幹部)との声もある。

 今や家庭用ゲーム機メーカーのライバルは他社のゲーム専用機ではなく、スマホやタブレット端末なのである。短時間でゲームを楽しむユーザーが増えるなか、専用機は総崩れである。米国のアナリストの間では「任天堂のWii(ウィー)やソニーのPS、米マイクロソフトのXboxのような2~3万円もする据え置き型ゲーム機は『捨てられたおもちゃの島』行きの運命にある」との見方をする人が多い。

 PS4は、11年12月に発売した携帯ゲーム機PS Vita(ヴィータ)の二の舞いになりかねないとの悲観論が台頭している。PS Vitaは販売不振に苦しんだ。13年3月期の携帯型ゲーム機(PS VitaとPSP=プレイステーション・ポータブルとの合計)の販売計画は期初の予想では1600万台だったが、1600万台という数字は強気すぎた。12年8月に1200万台に引き下げたのに続き、11月には1000万台に下方修正。今年2月には、さらに700万台に引き下げた。下方修正は今期3度目。期初予想の半分にも届かない。12年3月期の実績(PSPのみで670万台)を下回る雲行きなのだ。販売の内訳は明らかにしていないが、PS Vitaの販売が低迷しているとゲーム市場の関係者は見ている。苦戦を通り越して、これでは惨敗である。

 大苦戦に陥っているPS Vitaの本格的なテコ入れ策として、大幅な値下げに踏み切った。2月28日から、希望小売価格を20~33%値下げした。2万9980円だった3Gモデル、2万4980円のWi-Fiモデルともに1万9980円に下げた。こうなると在庫処分の投げ売りと同じ。決算では、さらに販売台数が目減りしていることだろう。

 据え置き型ゲーム機が売れないのは、ライバルの任天堂も同じだ。昨年末、満を持して投入した据え置き型ゲーム機の新機種「Wii U(ウィーユー)」の販売は振るわなかった。初代Wiiの発売当時に消費者の間で巻き起こったブームの夢よもう一度ともくろんだが、Wii Uの年末商戦は予想外の不振に終わった。Wii Uは当初550万台の販売を見込んでいたが、3月末までの販売予想を400万台に引き下げた。

 以前は、発売と同時に爆発的に売れた。ソニーはPS(発売94年)を1億240万台、PS2(同00年)を1億5500万台、PS3(同06年)を7000万台売って、大ヒットを飛ばしてきた。だが、それは過去の栄光でしかない。1億台売る商品は、もはや出ないといわれている。

 今日、据え置き型ゲーム機は絶滅機種。携帯型ゲーム機はスマホに死亡を宣告された。家庭用ゲーム機の販売の終了説が、公然と語られるようになっている。

 なのに平井(カズ)ソニーはなぜ、PS4に勝負を賭けるのか。日本市場でPS4が売れるとは考えていない。中国市場を主戦場と見なしている節がある。

BusinessJournal編集部

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