そんな、直前バタバタ派の一部にとって、次回の確定申告はさらに気が重いことになりそうだ。白色申告の大きなメリットであった、記帳義務なしという部分が変更されてしまうからだ。
●所得300万円以下でも記帳が義務化される
確定申告には、青色申告と白色申告の2種類がある。この違いを「白色が個人で、青色が法人」と考えるのは間違いだ。
簡単にいえば「私は事業を行います。税務申告は青色申告とします」と名乗りを上げた人が青色申告を行う。そうしなかった人のうち、基礎控除の枠を超えた収入がある人は白色申告を行う。
青色申告は複式帳簿の記帳義務などがあり、少々面倒ではある。しかしその分、控除が受けられる。白色申告はおおまかな経費計算だけで手軽に申告を済ませられるが、控除がない。つまり、控除と手間のどちらを選ぶかで白色申告にするか青色申告にするかが違っていたわけだ。
そして白色申告を選択した場合、事業所得が300万円以内であるならば、記帳なしに領収書から計算だけすればOKという、非常に簡単な申告が可能だった。しかしこのお手軽申告は2013年分までで終わり。14年1月から(来年3月以降申告分)は、すべての白色申告者に記帳義務と記録保存義務が生じることになった。
つまり今まで事業所得が少ないからと記録をほとんどつけずに済ませていた人も、帳簿というものに向き合わなくてはならなくなるのだ。
●とりあえず無料で帳簿の記録
「記帳しなければならない」といわれると、今まで取り組んでこなかった人にとっては、かなり気が重いだろう。しかし白色申告で義務化されるのは「簡易な方法による記帳」だ。
実は簡易な記帳というのは、売り上げ等の収入と仕入れや経費について記録するだけでよい。金銭的な出入りがあった日付や相手先の名称、金額などは記録しなければならないが、少々Excelの知識があれば家計簿感覚でまとめることもできる。
しかし、その少々の知識が問題だ。これで正しいのだろうかと疑問を感じながら帳簿をつけ、不安なまま申告書類をつくるというのは面倒だし、ミスがあった時のやり直しの手間も大きい。では最初からミスが出ないようにするにはどうしたらよいかといえば、専門ソフトに頼るのが一番だろう。
大きな改変があっただけに、会計ソフトメーカーもいろいろな取り組みを始めている。特に、会計ソフト大手である弥生が提供する「やよいの白色申告オンライン」が、手軽に申告書作成ができると話題を呼んでいる。14年いっぱいは、無料で全機能が利用できるという長いトライアル期間を設けているから、まずは無料で使ってみて使い心地がよくなければ別のソフトに乗り換えればよいし、自分でExcelを使ってできそうだと感じれば、帳簿づくりに挑戦するのもよいだろう。
無料で試せるクラウド型サービスとしては「free」もある。こちらは青色申告にも対応する全機能を3カ月無料で体験可能だ。