『社長・重役報酬の正しい決め方』
(日本経営合理化協会出版局)
役員報酬トップはカシオ計算機の樫尾俊雄元会長(故人)の13億3300万円。世界初の小型個人用電卓「カシオミニ」を開発した創業メンバーで、今年5月に87歳で死去した。基本報酬が1400万円、退職慰労金が13億1900万円。制度開始以来、初めて10億円超の人が出た。
10年、11年と最高額だったカルロス・ゴーン日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者)は9億8700万円で2位にとどまった。上位5人のうち、ゴーン氏以外は退職慰労金によるもの。上位に退職慰労金組が並ぶのは今年が初めてのことだ。
巨額の退職慰労金が支払われながら、役員でないため個別開示されなかったのが大東建託の創業者で、元会長の多田勝美氏。11年6月の株主総会の決議に基づき30億3600万円の退職慰労金が支払われた。昨年は、6億4900万円の役員退職慰労引当金繰入額を計上して3位となった。その分を差し引いても多田氏が、実質的には歴代、トップとみていいだろう。
では、お騒がせ企業の役員たちは、どのくらいの役員報酬を得ているのか?
粉飾決算に揺れたオリンパスは、不正を告発したマイケル・ウッドフォード元社長の11年度の役員報酬が1億3907万円だったことを明らかにした。同社は社長を解任されたウッドフォード氏に1000万ポンド(12億4500万円)を支払うことで、英国の裁判所で和解した。和解の条件はウッドフォード氏が本来受け取るはずだった報酬の3年分を支払うという内容だったから、そうなると計算上、ウッドフォード氏の年俸は4億1500万円ということになる。
オリンパスの”天皇”から一転して刑事被告人の身になった菊川剛・元会長の役員報酬は10年3月期が1億5800万円、11年同期は1億7500万円だった。ウッドフォード氏の役員報酬が、いかに突出しているかがわかる。