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広木隆「僕にも言わせろ~真説 経済のミカタ」(10月15日)

円安善悪論争は無意味?正しい「景況感」とは?二極化する日本経済、実態の把握困難に

文=広木隆/マネックス証券チーフ・ストラテジスト
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●把握が難しい景況感の実態

 東証一部の時価総額比率は、製造業が半分、非製造業が3割、残りが金融業である。製造業:非製造業:金融業の時価総額比率、5:3:2はそっくりそのまま利益額の比率でもある。上場企業の時価総額と利益で見れば、半分が製造業だ。しかし、日本全国、中小企業も含めた会社の「数」では、製造業の比率は1割に満たない。圧倒的な大多数は国内のローカルなサービス産業である。繰り返すが、彼らにとっては円安メリットがないばかりか、輸入コスト増でデメリットのほうが大きい。

 グローバルプレーヤーが主役の上場企業の視点に立つか、大多数の内需産業主体の国内景気の視点に立つかで、円安の捉え方は180度違ってくる。代表的な景気指標のGDPはGross Domestic Product、文字通りDomestic(国内)の景気動向を表す指標だ。いくらグローバル企業が海外で稼いでも、輸出が増えなければGDPにはカウントされない。これからは国内景気が低迷する一方、グローバル企業が引っ張って上場企業の業績はそこそこ好調、ということが起こり得る。ひとくちに「景況感」といっても、実態を捉えるのがより難しくなるだろう。

 こうしたなかで安倍晋三首相は、来年10月に再度消費税の引き上げを予定通り行うか否かの判断を、年末までに決定する。安倍首相が耳を傾けるのは、どちら側の声だろうか。
(文=広木隆/マネックス証券チーフ・ストラテジスト)

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