ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
スカイマークの旅客機(「Wikipedia」より/坂部 秀治<G-TOKS>)
1998年に運航を開始したスカイマークは、日本の航空産業の規制緩和によって新規参入できた航空会社の第1号だ。ピーチやバニラやジェットスターのように全日空や日本航空傘下にはないので、第三極と呼ばれることが多い。とはいえ、サービスの簡素化と大手2社に比べて安い料金を売りにしているので、利用者視点からみればLCCのグループに入れてもよいだろう。このスカイマークも今年、経営悪化で民事再生法の申請に至っている。
世界のLCCは、米国のサウスウエスト航空のビジネスモデルを模倣することでつくられたといえる。米国の航空業の規制緩和は78年に始まったが、サウスウエスト航空は71年から営業を開始した。その年こそ赤字だったが、その後40年以上利益を計上し続けている。固定費比率が高く、利益を出すことが難しいとされる航空業では非常に珍しいことだ。14年の旅客数は8600万人で全米1位、世界でも第4位につけており、模倣するに値する会社だといえる。
世界の航空市場に占めるLCCのシェア(座席数ベース)は25%を超え、特に欧州では35%にまで成長している。だが、各国で数多くのLCCが誕生する一方で、すでに50社以上が倒産しており、好調な会社が非常に少ないのも事実だ。同じ会社をマネしているのに、なぜ結果が異なるのだろうか?
サウスウエスト航空のビジネスモデル
サウスウエスト航空のビジネスモデルの基本は、次の4点にあるとされる。
(1)同一種類の航空機(ボーイング737)を使用→パイロットを含めた乗組員や整備士の訓練の簡素化(部品在庫を含め、機体の維持経費の削減もできる)→従業員の生産性が高くなる
(2)2つの空港をノンストップで結ぶ。しかも、中小の混雑の少ない空港を利用→スケジュールの遅延が少ない→便数を増やすことができる→機体の稼働率を高める
(3)限定的な顧客サービス。食事サービスや指定席を排除→20分以内に発着作業を完了することで航空機の回転率を上げる→機体の稼働率を高める
(4)マルチタスクをこなす従業員。例えば、簡単な清掃は乗務員がこなす→発着時間が短くなる→従業員の生産性が高くなり、機体の稼働率を高める