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井上隆一郎「アジア自動車産業 競争的分業体制への歴史的転換」

アジア自動車産業 競争的分業体制への歴史的転換(後編)  超中心国3国が牽引する各国間の序列が明確化

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 すなわち、AECの時代には、自動車市場の成長により事業環境が従来と異なったものになることに留意する必要がある。

競争的分業時代の生産体制

 域内及び隣接地域に複数の量産国が成長したこと、これと同時にAECの時代が始まることは、この地域の自動車生産体制に大きな変化をもたらすものと考える。従来の各国分散生産と部品の域内補完型の生産体制は、経済的に合理性を持ったものに置き換わっていくだろう。端的にいうならば、自動車生産規模をベースにした生産国間の序列の明確化である。つまり、タイ、インドネシア、インドを超中心国としたこれらの競争的分業体制を基盤に、中心国、周辺国、辺境国といった域内国家間の序列が生じてくるだろう。

 ここでいう国家間の序列は、以下のイメージである。超中心国は1社あたりの自動車生産が50万台を超える国であり、中心国はそれが20万台程度、周辺国はそれが5万台程度、辺境国はそれ未満の水準である。ちなみに、超中心国は、基幹部品の鋳造・鍛造・専用機による機械加工をはじめ、大型プレスも含む一貫量産工程が可能な国である。中心国は大型プレス以降の工程が可能な量産工場が可能な国、周辺国はボディ組立以降の工程が可能な国、辺境国とは輸入中心で、KD組立しかできない国である。


 具体的にいうならば、タイ、インドネシア、ASEAN域外だがインドを超中心国として、マレーシアは中心国、ベトナム、フィリピンは周辺国、カンボジア、ラオス、ミャンマーは辺境国という位置付けとなる。もちろん自動車市場は経済成長とともに変化するので、このような序列が固定することはあり得ない。超中心国といえども市場変動の結果、中心国になることもあれば、逆に周辺国が中心国、超中心国へと長期的には成長することもあるだろう。

 その意味では競争的分業とは、単に超中心国同士の競争だけを意味するのではなく、このポジションをめぐって各国が長期的な競争を継続する体制という見方もできるだろう。すなわち、独り立ちできない国々が支え合って生産体制を維持する守りの生産体制から、競争を軸としながらダイナミックな生産体制を構築していく攻めの生産体制、世界的にも競争力を持った生産体制へと転換していくものと考えられよう。


競争的分業時代の課題

 自動車市場と完成車の生産体制を中心に論じてきたが、このようなダイナミックな生産体制を構築していく上で欠かせない論点が、サプライヤー問題であろう。特にローカルの2次、3次サプライヤーの量的、質的能力が伴わなければ、上記の競争的分業体制としての生産体制は砂上の楼閣でしかない。

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