ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
東京都内のスターバックス店舗(「Wikipedia」より/Kure)
先日、筆者の塾生から「金のえび天」というおせんべいをもらった。名古屋土産で有名な坂角のえびせんべいのメーカーの「限定品」とのことで、パッケージも凝っている。さっそく袋を破って食べてみたら、いつも食べ慣れている「坂角のえびせんべい」よりも、こころなしかパリッとしている気がした。それもそのはず、1枚1枚が個別包装になっていて、そのパッケージのひとつひとつに乾燥剤が貼り付けられていた。やっぱりせんべいは「パリッと」していればいるほど美味しい。少しでもしんなりしていると、その瞬間に食べる気が失せてしまう。だからこそ、乾燥剤をえびせんべいの個包装の中に入れたのだなと思われる。
この発想は「売り上げ・利益至上主義」の企業からは出てこない。担当者が「やりましょう」と発案しても、上司が「そんな無駄なものをつくったら、いくらかかるんだ。儲からない商品なんか出せるか」となってしまう。想像するに「もっとパリッとした食感を楽しんでもらえないだろうか?」という顧客中心の視点から出たアイディアであろう。
このような画期的なアイディアを実現できる力こそが、売れる理由なのだ。
画期的な顧客視点のアイディア
筆者が週に1度講義に行っている関西学院大学大阪梅田キャンパスがある茶屋町アプローズタウンには、スターバックスコーヒーがある。講義前にここで1杯のコーヒーを飲みながら講義のレビューをするのが毎週楽しみなのだが、ある日、袋入りの1杯分の「スタバのインスタントコーヒー」をもらった。なんともかわいらしいスタンプが、カップに押してある。この店舗の15周年を記念したプレゼントとのことである。
スタンプを見ると、どうやらスタバ本社から全国統一で支給されたものではないことがうかがわれる。この店舗、オリジナルの企画だと想像できる。
こういった顧客視点の販売促進を店舗ごとに自主的に企画し実施できるところが、スタバの独自の強みである。同社は「第1の場所である自宅、第2の場所である学校や会社に続く第3の場所(=サードプレイス)を提供する」というコンセプトを掲げている。