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安倍首相、北方領土返還の意思なし…プーチン大統領に完全敗北、問題棚上げで経済活動先行

文=粟野仁雄/ジャーナリスト
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安倍首相、北方領土返還の意思なし…プーチン大統領に完全敗北、問題棚上げで経済活動先行の画像2納沙布岬から見える国後島

 同町で「故郷を返せ」という声が高まり、安藤石典町長が同年暮れ、米占領軍のマッカーサー最高司令官に「ソ連の占領を解除してほしい」と訴えたが、国を挙げての返還運動ではなかった。

 そして、51年のサンフランシスコ平和条約で日本は南樺太と千島の放棄を宣言したが、ソ連は不参加で帰属は未定。同条約で放棄した千島列島について、批准国会で西村熊雄条約局長は国後、択捉を含むことを認めてしまうが、外務省は「南千島」の呼称を後に「北方領土」とし、失態を想起させないようにした。

 56年の日ソ共同宣言では、「平和条約締結の後に色丹島と歯舞諸島を引き渡す」とされた。しかし、日ソ接近を嫌った米ダレス国務長官の「2島で平和条約を結んだら沖縄を返さない」という恫喝を受け、政府は「4島返還」を国是にする。この共同宣言に国後、択捉の言及はない。「返還する」ではなくロシア語の「ペレダバーチ」(譲渡する)は「自分の物ですが差し上げましょう」に近く、2島とて日本の領土とは認めていないのだ。

 九州アジア太平洋未来研究センターの岩下明裕教授は毎日新聞の取材で「日ソ共同宣言を元に安倍首相は、2島は無条件で日本の主権下にあると思っていたのではないか。この認識から出発したことがそもそもの誤り」と指摘する。 

安倍首相の「解決」は返還ではない

 安倍首相は16年5月にロシア・ソチの会談で「新しいアプローチ」を提案。プーチン大統領と同年9月にはウラジオストクで会談し「具体的に進めていく道筋が見えてきた」と胸を張った。メディアは舞い上がり、「2島返還は確実」から「国後島を合わせて3島返還も」などという報道まで出た。

 しかし11月のリマでのプーチン大統領との会談後、安倍首相は「大きな一歩を進めるということはそう簡単ではない」と話し、新聞見出しには「難しい」が並んだ。12月の来日直前、プーチン大統領は日本テレビと読売新聞の取材に色丹、歯舞の2島について「どちらの主権でどんな条件で引き渡すか(共同宣言には)明記されていない」とし、国後、択捉については「共同宣言を超える別のテーマだ」と拒否していた。

 元根室市会議長の波多雄志氏(82)は「政府は、プーチンさんが来るから返せ返せと叫んだり、鉢巻を締めたりするのは自粛するように言ってきていた」 と筆者に打ち明けた。首相の「自分の世代で終らせる」とは返還運動を終わらせることなのだ。

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