ビジネスジャーナル > 社会ニュース > トランプ「マジック」、早くも陰り  > 2ページ目
NEW
相馬勝の国際情勢インテリジェンス

トランプ「マジック」、早くも陰り…危険なゴルフ会談、安倍首相が「命令」される懸念

文=相馬勝/ジャーナリスト

 ここで、トランプ氏が強い経済・通商・為替問題を持ち出して、日本側から妥協を引き出そうという戦略が透けて見えてくる。なぜならば、安保問題とは違って、経済通商問題はトランプ氏のお手の物だからだ。

 また、差しの会談はトランプ氏の得意とするところだ。しかも、普通ならば絶対に成功しないだろう大きな取引を、ゴルフ場で実らせた経験があると豪語するくらい、トランプ氏にとって、ゴルフ外交は得意とすることだろう。

 トランプ氏は前出の自伝のなかで、日本人との交渉について、次のように述べている。

「日本人が自国の経済をあれだけ成長させたことは尊敬に値するが、個人的には、彼らは非常に商売のやりにくい相手だ。まず第一に、6人、8人、多い時には12人ものグループでやってくる。話をまとめるためには全員を説得しなければならない。2、3人ならばともかく、12人全員を納得させるのは至難のわざだ」
 
 きっと、安倍首相の側近もトランプ自伝を読んでいるだろうことは、安倍首相が昨年11月17日、当選直後のトランプ氏と会談した際、通訳の外務省職員と2人だけでトランプ氏を訪ねたことでもわかる。

 今回の場合、経済・通商問題については現段階では、まだ情報が乏しく、今後ともウオッチし、随時リポートしていきたいが、安倍・トランプの1対1の会談になった場合、米ニューヨーク・タイムズ紙が漫画で風刺したように、自動車の後部座席に座ったトランプ氏が拡声器で、運転手役の安倍首相に命令をしているような場面がないとは言い切れない。安倍首相がトランプ氏以上にタフネゴシエーターぶりを発揮できるかどうかは、今後の米中関係を占ううえでも、極めて重要だといわざるを得ない。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

トランプ「マジック」、早くも陰り…危険なゴルフ会談、安倍首相が「命令」される懸念のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!