
健康のためには、野菜や果物をたくさん食べるべき──。これまでさんざん聞かされてきた言説である。
ちなみに、厚生労働省は、成人の1日あたりの平均摂取量の目標値を「350g以上」としている。ところが、「平成22年国民栄養・健康調査」によると、実際の摂取量の平均値は268g。目標値に届かないのが現状だ。
では、「どれだけ食べれば」「どのくらい長生きできるのか」--。それが具体的に示されれば、私たちの認識も少しは変わるかもしれない。
そんなテーマについて、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの科学者たちが、果物と野菜に関する95の研究を分析した。
野菜と果物をたっぷり食べ、そのメリットを最大限に受けることで、世界で780万人の早期死亡が避けられると推定される――そう結論づけたことが話題を呼んでいる。
1日800gの野菜で「早死に」が3割減る
今回のメタ分析で対象となったのは、世界の最大200万人の事例だ。そのなかには、4万3000例の心臓病、4万7000例の脳卒中、8万1000例の循環器疾患、11万2000例のがん、9万4000例の早期死亡を含む。
英国のガイドラインでは、1日あたり野菜や果物を400g以上摂取することを推奨している。たが日本と同様、目標値に達している人は全体の3分の1以下だという。
しかし、今回の研究では、その半分の1日200gの野菜果物の摂取であっても、食べない人に比べると、心臓病16%、脳卒中18%、循環器疾患13%ものリスクを減らせることが明らかになった。
そして、もっとも健康効果が高かったのが、野菜や果物を1日「10ポーション」(約800g)食べた場合だ。
食べない場合と比較すると、心臓病24%、脳卒中33%、循環器疾患28%、全がん13%、早期死亡31%のリスクを減少させることがわかった。
この結果から、もし人々が1日800gのフルーツや野菜を食べれば、毎年世界中の約780万人の早世を防げる可能性があることが導き出されたという。
1ポーションはバナナ小1本、小さめのりんごやナシ、柑橘であれば1個。ホウレンソウやブロッコリー、カリフラワーなど加熱した野菜であれば、だいたい大さじ山盛り3杯分相当だ。