
多国籍企業であるグーグルは、タックス・ヘイヴン(租税回避地)を駆使した“節税企業”としても知られる。「検索エンジン」や「グーグルアース」「ストリートビュー」「ユーチューブ」そして「グーグルブックス」といった同社のサービスは、すべて無料で使える。にもかかわらず、同社の持株会社アルファベットは、年間9兆円規模の売上を叩き出しているのだという。果たして同社は、そんな多額のカネをどのように稼いでいるのだろうか。
以下、拙著『グーグルに異議あり!』(集英社新書、2010年)から一部修正の上、引用する。
その答えは、グーグル社のホームページの中にあった。検索結果の画面やストリートビュー画面の周辺に出る「アドワーズ」と呼ばれる広告で、グーグルは多額の稼ぎを叩き出しているのである。
これは別名「キーワード広告」といい、検索する際に打ち込む言葉に関連する企業などの広告が、検索結果とともに表示されるのだ。
検索業者のための著作権法改正
そのアドワーズを利用している日本国内の広告主にお願いして見せてもらったのが、グーグルからの「請求書」である。
請求元は「グーグル・アイルランド」。所在地は本社のある米国・シリコンバレー(カリフォルニア州)ではない。アイルランド共和国の首都・ダブリンになっている。そしてダブリンといえば、世界的に有名なタックスヘイブン(租税回避地)としても知られる。
つまり、日本のユーザー向けサイトに載る日本人向け広告で得た収益は、日本の国税当局の前を素通りし、アイルランドのグーグルへと送金されているのだ。
その証拠に、請求書の下段にはこう明記されている。
「弊社の広告サービスは日本国外を拠点とするため、消費税の課税対象とはなりません」
(筆者注:16年10月以降は「クロスボーダー消費税」の課税対象になった。ただし、納税義務があるのはグーグル社ではなく、日本国内の広告主である。)
アイルランドへの送金は大半の場合、高い手数料を取られる銀行経由ではなく、クレジットカード決済のかたちで行なわれる。事情を知る関係筋は語る。
「グーグルに支払う広告費に、日本の消費税はかかりません。一方、ヤフーのキーワード広告『オーバーチュア』の場合は、日本法人による事業なので消費税がかかります。