家購入の危険な罠…買う時も買った後も支払う、ローン返済以外の高額費用
私は有料相談専門のファイナンシャル・プランナーとして、累計2,000件の相談を受けている。相談はまず相談者へのヒアリングから始まるのだが、相談者が不動産販売業者などから聞いた、あるいは自分でインターネットで調べたという住宅購入の知識や常識は、私にとっては非常識に感じるものも多い。今回は、こうした住宅購入でよくある3つの勘違いを挙げていこう。
「ローン返済額は今の家賃並みだから大丈夫」か?
「ローン返済額を今の家賃と比べてみてください」は不動産販売業者の定番フレーズだが、住宅を購入した後、継続的に支払っていく必要があるのは住宅ローンだけではない。保有することにより固定資産税や都市計画税といった税金の支払いが必要になる。マンションであれば管理費や修繕積立金がかかる。
修繕積立金には注意が必要で、ファミリータイプの新築マンションでは当初月額5000~6000円程度ということが多いが、将来的には2~3万円程度まで上昇する物件も多い。また、たとえば10年ごとに数十万円の一時金が徴収される計画である物件も多くはないが存在する。
一戸建てであれば管理費や修繕積立金はかからないが、外壁や屋根のメンテナンスが必要で、給湯器やキッチン・バス・トイレなどの水回りも一定期間で交換が必要になる。こうした費用として20年間で数百万円は覚悟しておく必要がある。
また、将来の変化も想定すべきだ。住宅ローンを変動金利で借りる前提で月返済額を想定しているのであれば、将来、金利が上昇したときの月返済額の上昇も想定する必要がある。まだ幼い子どもがいる家庭であれば、これから教育費の負担が増していくことも考慮しなければならない。生活費が年金収入を上回る老後に向け、ある程度の金額は老後資金の貯蓄に回していく必要もある。
つまり、当初のローン返済額が今の家賃よりかなり低い、あるいは今の家賃並みであっても家計に余裕がありかなり貯蓄できるという状態でなければ、将来、家計が苦しくなる可能性は高いといえよう。
「自己資金ゼロで購入できる」か?
家の購入時にもさまざまな費用がかかる。主なものを挙げると、住宅ローンの保証料や融資手数料、登記関連の費用、火災保険料、そして不動産会社を通じての購入であれば仲介手数料、一般的に仲介手数料が不要な新築マンションの場合でも修繕積立一時金などがかかる。これらを合計すると購入する物件価格の5~10%程度になる。