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航空経営研究所「航空業界の“眺め”」

最大で補償金100万以上?多発する航空機のオーバーブッキング、知られざる対応【後編】

文=牛場春夫/航空経営研究所副所長

 募集しても応募する旅客がいない場合や、目標の旅客数に達しない場合は、航空会社の社内規定に従って選別した顧客と直接交渉して降機してもらうことになる。選別基準は、航空会社によってまちまちであるが、大抵の場合、航空運賃の多寡、チェックインの順番、マイレッジ会員か否かなどの基準によって判断されているようだ。多くの航空会社は、IATAのこの約款に準拠している。

 欧州では、EU域内共通規則261「航空便補償規定」が存在する。航空会社は、搭乗拒否した旅客に対して、航空便の路線距離や代替便による目的地到着までの遅延時間(予約した便と代替便の最終目的地の到着時間の差)の大小により、125~600ユーロ(約1万5000~7万円)の補償金(Cash Compensation)を支払わなければならない。

 米国でもEUの場合と同様に、搭乗拒否された旅客は、連邦行政規則集の14 CFR 250.5「連邦航空規定」により支払った航空運賃の2倍(最大650ドル:約7万円)までの補償金を受ける権利を有している。代替便の最終目的地到着時間が大幅に遅れるようなことになれば、補償額は4倍(最大1,300ドル:約15万円)となる。

 補償金は、その金額と同等かそれ以上の相当額の金券(トラベル・バウチャー)により代替できる。そしてどちらのケースでも、航空会社はホテルや飲食などの付随サービスを必要に応じて提供しなければならない。

 日本では、国内線の場合は01年につくられた「フレックストラベラー」と呼ばれる制度がある。この制度により搭乗拒否に応じた旅客に対して協力金として1万円もしくはマイレッジポイント7,500ポイントを提供する。代替便が翌日となる場合、協力金やマイレッジは倍増する。国際線の場合は、前述のIATA国際運送約款に従っている。補償については各航空会社によって異なる対応が取られている。日本では、国内線と国際線のどちらの場合も、EUや米国のような法令は存在しない。

各国でオーバーブッキングの規制強化が始まりだしている

 米下院の運輸経済基盤委員会は、ユナイテッドの事件の直後、米航空会社のCEOなど上級幹部を議会に招聘、彼らに対して顧客サービスの抜本的改善を命じた。大手は以下の検討を約束させられた。

(1)オーバーブッキング補償上限の 1万ドル(約110万円)に引き上げ
(2)YMS改善によるオーバーブッキング大幅削減
(3)搭乗後旅客の降機禁止
(4)社員サービス再教育
(5)簡略化を含む約款の見直し

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