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衆院選、1回の実施に税金6百億円投入…有権者の2人に1人しか投票に行かない理由

文=山田稔/ジャーナリスト
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衆院選、1回の実施に税金6百億円投入…有権者の2人に1人しか投票に行かない理由の画像1東京都第22区の掲示板

 10月22日に投開票が行われた第48回衆議院議員総選挙は、台風21号の接近で雨風に吹きさらされての実施となった。筆者は午前11時過ぎに、自宅近くのコミュニティセンターに設置された投票所へと足を運んだ。傘をさしたり、レインコートに身を包んだ有権者が次々に訪れ、投票所内は混雑気味。期日前投票の投票者が大幅に増加といったニュースもあり、さすがに今回は関心が高いのかと思った。

 ところが蓋を開けてみれば、投票率は戦後最低だった前回2014年の52.66%とほぼ同水準の53.68%。戦後2番目の低さとなってしまった。

 総選挙には毎回、約600億円もの税金が投入されている。今回は635億円かけた。一般会計の予備費から総務省、法務省、外務省、内閣府に拠出され、選挙の管理執行や政見放送などの選挙公営費、選挙違反の取り締まりなどに使用されている。

 600億円といえば、人口15万人前後の自治体の年間予算に匹敵する。そんな巨額の税金を投入しているにもかかわらず、有権者の2人に1人しか投票に行かなかったということになる。それも2回続けての低水準だ。

 ちなみに、アンゲラ・メルケル首相が4選を決めた今年9月のドイツの総選挙では、投票率は76.2%だった。ドイツでは毎回70%台の高水準が続いており、日本とは大違いだ。

戦後最高は1958年の76.99%、民主党政権誕生時は69.28%

 過去の投票率の推移を調べてみたところ、驚いたことに日本でも投票率が70%を超えていた時代が随分と長い間あった。1946年に行われた第22回総選挙は72.08%。それ以降、昭和の時代は70%台が当たり前で、低くても67%台だ。戦後もっとも投票率が高かったのは1958年の第28回総選挙で、なんと76.99%。自民党vs.社会党という「55年体制」下で行われた最初の選挙だった。ドイツ並みの水準を誇っていたことになる。

 投票率低下が顕著になるのは1996年の第41回総選挙からだ。小選挙区・比例代表並立制が導入された選挙で、当時の政権は3党連立の「自社さ政権」で、首相は橋本龍太郎氏だった。この時の投票率は59.65%。政治改革、選挙制度改革という戦後最大の激変を経て行われた選挙で、皮肉にも戦後初めて投票率が6割を切ってしまった。

 その後、投票率は62.49%、59.86%と推移。2005年の第44回総選挙(小泉政権時代の郵政解散による選挙)で67.51%、2009年の第45回総選挙(民主党政権誕生時)に69.28%まで盛り返した。

 だが、自民党が政権を奪回した2012年の第46回総選挙で59.32%と再び6割を切り、前回2014年の第47回総選挙は52.66%と戦後最低を記録してしまった。

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