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神岡真司「幸福になるための心理学」

内向的or外向的性格、遺伝が決定付け?内向的な人が存在感を発揮&世渡りで成功する方法

文=神岡真司/ビジネス心理コンサルタント
内向的or外向的性格、遺伝が決定付け?内向的な人が存在感を発揮&世渡りで成功する方法の画像1「Thinkstock」より

人間は「内向型タイプ」と「外向型タイプ」の2つに分かれる

 世の中では、「口下手で内向型の人」は「口が達者で外向型の人」と比べて、何かと損をしがち――といわれます。議論をしても、口の達者な人に押され気味になりますし、控えめで目立たないので、存在そのものすらスルーされかねないからです。

 人のタイプを「内向型」と「外向型」に分類したのは、1921年の心理学者ユングが最初でした。

「内向型の人」は口下手な人が多く、他人と接するよりも自分の内面に向き合っている時が一番安らげるとともに、孤独の環境でこそエネルギーを充足させます。

 反対に「外向型の人」は口が達者で、人と接することによってエネルギーを充足させます。大勢の人と接するほどに元気になり、外界からの刺激のない閉鎖空間にいると、みるみる元気をなくす――というのです。

内向的or外向的性格、遺伝が決定付け?内向的な人が存在感を発揮&世渡りで成功する方法の画像2『才能が見つからないまま大人になってしまった君へ』(神岡真司/ワニブックス)

 こうした特徴が「内向型」と「外向型」の違いです。

 ところで、ユングの分類以降、さまざまな研究が行われますが、脳の遺伝的気質の違いが「内向型の人」と「外向型の人」にタイプを分ける――と立証したのは、米国の発達心理学者のジェローム・ケーガンでした。

 ケーガンは、本能を司る大脳古皮質にある「扁桃体」という感情脳の反応に着目し、生後4カ月の赤ちゃんから成長するまでの多くの人を長期観察し、赤ちゃんの時に外界からの刺激(音・光・振動など)に敏感に反応し大泣きする子が、成長するとともに「内向型」のタイプを形成することを突き止めたのでした。

 ケーガンによると、外界からの刺激に極端に高反応だった子は2割で、まったく動じずに落ち着いていた子は4割、残り4割はどちらでもない反応だったということです。

 この結果から、極端に内向型の人が2割ほどいることは明らかですが、人間のタイプは概ね内向型か外向型かのどちらかの傾向を帯びるとしています。つまり、全体で見ると内向型傾向の人が40%、外向型傾向の人が60%ということになるので、ほぼ半々ともいえるでしょう。

 冒頭で、「口下手で内向型の人」は何かと、世の中で損をすることが多い――といった世間的見方を紹介しましたが、歴史的に大成功した人には「内向型の人」が多い――という指摘もあります。

 これには、「やる気」というモチベーション維持が大きく関わるからといえます。

人間の「やる気」の源にある2つの報酬源!

 人の「やる気」の源には、「外部的報酬」と「内部的報酬」の2つがあります。外部的報酬は外発的達成動機ともいわれ、「金」「名誉」「地位」「肩書」「賞賛」といった世間的価値や評価のことをいいます。内部的報酬は内発的達成動機ともいわれ、「興味」「関心」「好奇心」「楽しい」「愉快」といった心の価値観に支配されるものです。

 当然ですが、「外向型の人」は目立つことが好きですから、外部的報酬に強く影響されるでしょう。一方、「内向型の人」は自分の心の充足を求めますから、外部的報酬よりも内部的報酬により強く影響を受けるのです。

 内向型の人は口下手の人が多いのですが、それは思考が内面に向かい、より深く慎重に自分の頭の中で整理しようとするからです。外向型の人のように反射的に無意識に言葉を発するよりも、思考が深く慎重に言葉を選ぶため、口が重いようにも見えるのです。

歴史的な成功者には「内向型の人」が多い

 当然ですが、「内向型の人」のこうした気質は、学術や研究分野で威力を発揮します。

 相対性理論を発見したアインシュタインは、4歳までまともに言葉が喋れず、7歳まで読み書きが不自由だったことは有名です。年齢を重ねても自分の興味のある分野にしか興味を示さなかったため、大学に助手として残って研究したかったのに「やる気のない反抗的な学生」と見なされ、卒業後は家庭教師などのアルバイトで糊口をしのぎ、ようやく特許庁の下級審査技師の職を得てから生活が安定し、好きな物理学の研究に取り組んで次々論文を発表して、のちの名声につなげています。

 発明王エジソンも、自分の興味ある質問だけを連発し、小学校では知能が低いと見なされ、校長から他の生徒の迷惑だとして退学させられたのは有名です。

 子供の頃から内向型の特徴を発揮していたのは「万有引力発見」のニュートンしかり、「種の起源」のダーウィンしかりでした。ほかにも、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ、映画監督・プロデューサーのスティーブン・スピルバーグやジョージ・ルーカス、世界一の投資家ウォーレン・バフェット、リンカーン大統領、インド独立運動のリーダーで非暴力主義を貫いたマハトマ・ガンジーなど、「内向型の人」は、目白押しなのです(詳しくは拙著『才能が見つからないまま大人になってしまった君へ』<ワニブックス>)。

内向型の人は「質問力」を身に付けるだけで「スーパー人間」に変身できる

「口下手で内向型の人」は慎重で控えめなため、他の人からぞんざいに扱われたり、目立たないため軽んじられたりすることはあっても、うちに秘めたる信念と自分の世界観を持ち続ける強靭さは、「口が達者で外向型の人」には及びもつかないものがあるといってよいでしょう。

 さて、筆者はこんな「口下手で内向型の人」が職場や学校で今以上に存在感を高め、コミュニケーション能力を発揮するためには、ただひとつ「質問力」だけを身に付ければよいことに気がつきました。「質問力」さえあれば、多くを喋る必要もなく、本質的な言葉のやり取りだけで、その内なる能力(観察力・執着力・粘着力など)を存分に発揮できるからにほかなりません。つまり、「質問力」を身に着ければ、「口下手で内向型の人」は世渡りが非常に楽になるわけです。

 たとえば、上から目線でえらそうな態度の人でも、こちらから核心的な質問の一言を発するだけで、相手をたじろがせ、容易に会話の主導権を取り戻せます。また、相手から早口の議論で詰め寄られ、タジタジにさせられるような場面でも、「なぜ、そう思うのですか?」といった質問で切り返すことで時間稼ぎもでき、内向型の人の思考の深さで、反転攻勢のキッカケさえもつくれるからなのです。

 相手から質問されて、うかつにYES・NOを表明しないほうが得策の時には、すぐには答えず、「あなたはどう思いますか?」と逆質問することで、相手に先に意見表明させられます。

 縦横無尽に、臨機応変に「質問の一言」を発するだけで、どんなに「口下手で内向型の人」でも存在感を示せると同時に、コミュニケーション力までが大きく変わってくるわけです。

 では、どんな場面で、どんな質問を繰り出せば、「口下手で内向型の人」にとってのチャンスが訪れるのでしょうか。

 それには、具体的かつ実践的な質問ケースに数多く通じていただくことが一番の早道と思うのです。詳細についてご興味のある方は、口下手で内向型の人向けに書いた拙著『口ベタでも、人を動かす うまい質問』(永岡書店)を参考にしていただき、「武器としての質問力」を身に付ける機会にしていただければと思います。
(文=神岡真司/ビジネス心理コンサルタント)

神岡真司/ビジネス心理コンサルタント

神岡真司/ビジネス心理コンサルタント

最新の心理学理論をベースにしたコミュニケーションスキルの向上指導に定評。法人対象のトレーニング、人事開発コンサルティング、セミナー開催などで活躍している。著書に『思い通りに人をあやつる101の心理テクニック』(フォレスト出版)、相手を自在に操るブラック心理術』(日本文芸社)、『「気がきく」人と思わせる103の心理誘導テクニック』(角川学芸出版)、『最強の心理学』(すばる舎)、監修書に35万部のベストセラーとなった『ヤバい心理学』、『もっとヤバい心理学』(日本文芸社)がある。

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