
今年も桜のシーズンが終わりました。相変わらず京都にはたくさんの人が訪れたようです。経験のある人はわかると思いますが、桜の盛りの京都は、「この世にこんなに美しいところがあるのか!」と思うぐらい素晴らしい半面、「この世にこんなに観光客であふれているところがあるのか!」と感じることもまた事実です。これは紅葉の時も同じで、3月下旬~4月初旬、11月下旬~12月上旬の京都は、本当に多くの人が訪れます。
私は京都の桜と紅葉が最高だという考えは、いささかステレオタイプに過ぎるのではないか、という気がしています。確かに京都の桜や紅葉は美しいですが、それ自体の美しさということでいえば、ほかにもっと素晴らしいところは日本の至るところにあります。
たとえば桜でいえば、全国各地にある壮大な桜並木の素晴らしさは言葉を失うほどですし、東京の千鳥ヶ淵の美しさも見事なものです。紅葉にしても日光や東北の磐梯山などの全山紅葉という雄大な美しさや、奥入瀬渓流の自然に溶け込む紅葉は、決して京都に引けをとりません。
『お金の常識を知らないまま社会人になってしまった人へ』(大江英樹/PHP研究所)
ただ、これらの素晴らしい桜や紅葉も残念なことに、あまりにも観光客が多過ぎるため、ゆっくりと鑑賞することができません。紅葉の名所で言えば、東福寺や永観堂が有名ですが、これからのシーズンは本当に人が多いし、夜は夜でライトアップが行われるために場合によっては昼以上に人が詰めかけ、紅葉を見に来ているのか人を見に来ているのかわからなくなるくらいです。
当然、ホテルは取りづらいし、道路は混むしで、京都に住んでいる人にとっては恐らくこうした観光シーズンは憂鬱な季節と思っているに違いありません。私もかつて数年間だけですが京都に住んでいたことがあるので、ほんの少しその気持ちはわかります。