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NECが末期状態…1万6千人削減→また3千人削減、事業売却の連続で稼ぐ事業消滅

文=編集部
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NECが末期状態…1万6千人削減→また3千人削減、事業売却の連続で稼ぐ事業消滅の画像1写真:杉本哲大/アフロ

 日本電気(NEC)の新野隆社長兼CEO(最高経営責任者)は4月27日の決算発表の席上、中期経営計画で掲げた収益を実現するため、「2018年度は構造改革をやる。そのための費用400億円を織り込み、やるべきことは今年度中にきっちりやりきる。2019年度以降につながる成長の第1歩となる年にしたい」と語った。

 構造改革費用400億円の内訳は、総務など間接部門や通信機事業などが対象の希望退職で300億円、岩手県一関市と茨城県筑西市の2工場の閉鎖などで100億円。

 NECは今年1月30日、20年度(21年3月期)までの中期経営計画を発表した。16年4月に策定した中期経営計画を見直し、国内で従業員3000人の削減や、通信機器を製造するNECの子会社NECプラットフォームズが運営する国内9工場の統廃合を盛り込んだ。成長戦略より、人員削減に比重が置かれた計画である。

 1月時点では、どの工場を閉めるかは示していなかったが、今回、一関市と筑西市の工場を閉鎖すると正式に発表した。従業員は別の工場に異動させる方針だが、退職金を積み増して希望退職を募る考えだ。

 18年3月期連結決算(国際会計基準)の売上高に当たる売上収益は前期比6.7%増の2兆8444億円、営業利益は52.6%増の638億円、当期利益は68.0%増の458億円だった。

 19年同期は400億円の構造改革費用が響き、営業利益は21.7%減の500億円を見込む。3000人規模の人員削減のほか事業所の閉鎖を進め、「20年3月期は営業利益1200億~1300億円を目指す」(新野社長)としている。 

 NECはこれまでにも半導体や携帯電話などの事業売却を繰り返してきた。だが、今回のリストラは、対象に祖業の通信事業があるところが決定的に違う。通信自由化とともに海外メーカーとの競争が激化し、安定した収益を稼げなくなった。

 人員削減に踏み切るのは、01年から4度目となる。01年に4000人、02年に2000人、12年には1万人削減を実施した。このときは「社内のモチベーションが低下した」と新野社長が吐露している。ハードウェアの技術者をソフトウェアからの配置転換で乗り切ろうとしたが、机上の計画通りにはいかなかった。

 1万人の削減時点では「これ以上のリストラはしない」(新野社長)と否定的だったが、今回3000人の追加リストラを打ち出すのは、人を減らしても収益が改善しないためだ。リストラ頼みの経営の限界を露呈した。

儲かる事業がなくなった

 今世紀に入ってからのNECは、縮小に次ぐ縮小の歴史だ。

 2000年代初頭にITバブルが崩壊した。01年3月期の売上高は5兆4097億円、営業利益は1851億円あった。だが、02年同期は最終損益が3120億円の赤字に転落した。

 その後、リストラを繰り返して規模を縮小した結果、18年3月期の売上高は2兆8444億円とほぼ半減、営業利益は638億円と、ピーク時の3分の1にとどまる。

 かつて世界一を誇った半導体は10年に旧ルネサス テクノロジと経営統合してルネサスエレクトロニクスとなった。17年には保有株のほとんどを売却して撤退した。

 PC98シリーズで国内首位を走ったパソコンも、11年に中国のレノボに持ち分の大半を譲渡した。

 14年まで国内首位だった携帯電話は、カシオ計算機と日立製作所の共同出資会社、NECカシオモバイルコミュニケーションズに移行。14年、日立とカシオの持ち株を買い取り、完全子会社のNECモバイルコミュニケーションズとした後、16年に会社を解散した。

 インターネット黎明期からプロバイダー事業を展開してきたビッグローブは14年、投資ファンド・日本産業パートナーズに売り渡した。

 事業の切り売りはさらに続く。18年3月、車載用リチウムイオン電池市場でパナソニックに次ぐ売り上げを誇っていた、日産自動車との共同出資会社、オートモーティブエナジーサプライと、リチウムイオン電池の電極を製造する子会社を中国系ファンド・GSRキャピタルに売却した。家庭用小型蓄電池事業の終了も決めた。

 儲かる事業は見当たらない。

 新中期経営計画では売上高を20年度(21年3月期)に3兆円に戻し、海外比率を3割近くに引き上げる目標を掲げる。顔や指紋などの認証技術を生かした防犯・安全(セーフティー)事業に注力する。

 今年1月、セキュリティー分野に強い英ITサービス会社、ノースゲート・パブリック・サービシ-ズを710億円で買収した。同社を軸に国際展開を進め、20年度のセーフティー事業の海外売上高を2000億円と現在の4倍にする計画だ。

 だが、どこに向かうのかが見えてこない。

 16年4月に社長に就いた新野氏が、やっと通信機事業のリストラに踏み切った。

 経営が迷走を続けた結果、ピーク時に5兆円を超えていた株式時価総額は、4月27日には7827億円に激減した。4兆2000億円分が消失した計算だ。

 リストラの果てに、NECは立ち枯れの危機に立たされている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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