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ソニー、一瞬の絶頂か…最高益の死角 直近四半期「722億円減益」の意味

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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ソニー、一瞬の絶頂か…最高益の死角 直近四半期「722億円減益」の意味の画像1ソニーの吉田憲一郎社長兼最高経営責任者(東洋経済/アフロ)

 2018年3月期のソニーの業績は予想通り過去最高だった。ただし、問題はこれからだ。これまでソニーは、主にスマートフォン向けの画像センサー(CMOSイメージセンサー)への需要を取り込んで経営をたて直してきた。世界の画像センサー市場で、ソニーのシェアは約45%に達する。ソニーのIT関連部材の需要がどう推移するかは、スマートフォンなどのIT機器への需要動向を考える尺度といえる。

 スマートフォンに関しては、機能面での差別化が難しくなっている。アップルのiPhoneも、中国のファーウェイの製品も機能はそう変わらない。機能面で人々を「あっ!」と驚かせる仕掛けは少なくなり、今後は価格競争が進みやすい。従来の規格に基づいたセンサー等の部品価格にも下押し圧力がかかるだろう。これまではスマートフォン向けの需要がソニーの業績を支えたが、その発想で今後の成長を実現することができるか、不確実性が高まっている。

ソニーの業績ピークアウト懸念

 
 4月27日に行われたソニーの業績説明会では、すでに同社の業績がピークを迎えた可能性が示された。

 まず、2017年度通期の営業利益は7,349億円に達し、前年度から155%程度増加した。これは、20年ぶりの過去最高益の更新だ。背景には、半導体事業の営業利益が増加したことがある。その他の事業セグメントのなかで利益率が高いのは金融である。この2つの事業分野に比べると、ウォークマンやトリニトロンテレビで一世を風靡した家電分野の貢献は小さい。携帯電話事業は営業赤字だ。事実上、ソニーはコンシューマー・エレクトロニクス企業よりも、半導体(部品)メーカーとしての存在感が強くなっている。

 通期で見るとソニーは絶好調に見えるが、1~3月期の四半期決算に焦点を当てると、状況はやや異なる。営業利益は222億円と前年同期から722億円の減益となった。17年10~12月期の営業利益が3,508億円であったことを踏まえると、17年末までソニーの業績は拡大した。一方、年明け以降、収益力は低下している。これだけ利益が落ち込んだということは、市場環境が変化していると考えるべきだ。

 18年度の業績見通しに関しては、営業利益は6,700億円と予想されている。この背景には半導体事業での減益見通しがある。同社の資料では、円高などが減益の要因と記されているが、それだけではないだろう。

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