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航空経営研究所「航空業界の“眺め”」

ボーイング、「折り畳み翼」航空機が圧巻!翼幅71m、なぜ機体重量増でも燃費向上?

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ボーイング777X型機

 ボーイング社は現在製造中の777型機の後継機種として、2020年を目標に777X型機を開発しています。これまでと同じ777というコードを使っていますが、翼はカーボン製、胴体はアルミ製の新設計の機体であり、エンジンも新たに開発中のものを採用しており、777在来型と同じ長距離機マーケットにおける新設計の後継機ということができます。最近の報道の一つに、777Xの折り畳み翼のデザインが米連邦航空局(FAA)の認可を得たというものがありました。民間機では初めての試みですので、これは目を引きます。

 下記のアドレスにアクセスすると、ボーイング社が公表している動画を見ることができます。昔の艦載機(軍用)の折り畳み翼のように翼が根元の方で大胆に折れるというわけではなく、翼端で少し折れ曲がります。

http://www.boeing.com/777x/reveal/twitter-933440086301138944/


 とはいえ、翼幅(左翼端から右翼端までの直線長さ)は折り畳まれた状態で64.8m、伸ばした状態で71.8mあり、その差は7mです。片翼で3.5m違いますから、折れ曲がり部の翼は間近に見ると結構大きなもののようです。

 この設計を採用した目的は、燃費の向上を図ることにあります。翼の縦横比(翼幅<横>÷平均翼弦長<縦>)を専門用語でアスペクト比といいますが、この比率を大きくすれば機体の抵抗は少なくなり、燃料消費も少なくなるという原理です。翼幅を伸ばしていくことで抵抗は確実に減少するのですが、現状では翼幅が65mを超えてしまうと乗り入れ空港や利用駐機場が超大型機A380のように大幅に制限されてしまいます。表は空港建設用に準備されたさまざまな機体サイズ向けの駐機場をつくるための規格を整理した表ですが、大型機も乗り入れる空港では航空機コード「C」と「E」が主流となっています。

 このため777Xは駐機場では翼幅を65m以内に、飛行中は65mの制約にとらわれないという工夫です。米国航空局は設計認可にあたっていくつかの制約を設けたといわれています。ヒンジ部分から外側は燃料タンクを設けない。万が一にも飛行中に翼が折れ曲がることのないよう、翼を伸ばした時のヒンジ部の固定はかんぬき構造を2重にする(ラッチ&ロック構造)などの条件がつけられたそうです。

 この設計を採用すると、これまでの設計よりも機体重量が増加します。重量増加による燃費悪化と翼幅増による燃費改善効果を天秤にかけて、そのプラス部分を享受することになります。777X型機で燃費改善効果が顕著であれば、ボーイング社において今後開発が進むと思われる、797型機といわれている新中型機や737後継機においても、この折り畳み翼のデザインが採用される可能性があります。
(文=稲垣秀夫/航空経営研究所主席研究員)

ボーイング、「折り畳み翼」航空機が圧巻!翼幅71m、なぜ機体重量増でも燃費向上?のページです。ビジネスジャーナルは、連載、777X型機ボーイング社米連邦航空局の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

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