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任侠山口組本部事務所に使用禁止命令が…一方で組織改革を断行、山口組再編への前兆か?

文=沖田臥竜/作家・元山口組二次団体幹部
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任侠山口組本部事務所に使用禁止命令が…一方で組織改革を断行、山口組再編への前兆か?の画像1使用禁止となり、すでに表札が外された真鍋組本部事務所

 今年6月、地域住民ら約20名に委託され、暴力団追放兵庫県民センターから事務所の使用の差し止めを申し立てられていた任侠山口組。この申し立てを受け神戸地裁は4日、同組が本部として使用していた、尼崎市内にある傘下組織・四代目真鍋組本部事務所の使用禁止の仮処分を決定したことが明らかになった。

 これにより、任侠山口組の今後の活動や勢力に影響を及ぼすだろうとの見方を示すメディアもあったが、実際にはなんらかの支障を来すとまでは考えられないのではないだろうか。

 現に去年10月には、神戸山口組の本部事務所の役割を果たしているとして、傘下組織である侠友会本部が仮処分の決定を受けているが、神戸山口組はその後も勢力を保持したまま存在している。任侠山口組においても、それは変わらないと考えるのが妥当だろう。

「六代目山口組と異なり、神戸山口組も任侠山口組もそうなのですが、両組織とも今回使用禁止の決定を受けた本部事務所を、はっきりと総本部として明記していたわけではありません。特に任侠山口組では、分散型の組織運営を標榜し、発足時から本部事務所を置かない方針だといわれていました。ただ、当局が指定暴力団として官報に公示するには、組織の活動拠点とする本部事務所が必要となってきます。そのため、当局は、活動実態などは二の次にして本拠地を認定する必要があったのです。便宜上、当局側が決めた本部ですから、今回の仮処分で組織全体がダメージを受けるとは考えにくい。当面は、尼崎市内にある傘下組織・二代目古川組や他の傘下組織事務所を使用しながら、会合などを開き組織運営を行っていくのではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 すでに任侠山口組では、ブロック会議や親睦会などは組事務所ではなく、飲食店などを利用して開催しているともいわれている。本部の使用禁止という処分への対策も練られていると考えるのが自然だろう。

三役および執行部の新人事や組織名称の変更を断行

 さらに、神戸地裁が前述の仮処分を決定した同日、そんなことは意に介さず、任侠山口組では組織の大改革を断行したことが「御通知」を通じて関係者らに伝えられたようだ。

 業界関係者の間で瞬く間に拡散された御通知によれば、組織の要といわれる三役(若頭、舎弟頭、総本部長)および執行部の新人事や組織名称の変更などが伝えられ、相互扶助を目的とした親睦団体が新設されたという。これらはすべて、現在3つに分かれた「山口組」の統一と革命を志すために断行されたものではないかとみられている。

「これまで使用されていた、山健連合会や山健同志会などの、『山健~』と付いた傘下組織の名称がすべて改められている。山口組統合に向けて動きだした際に、神戸山口組の中核団体『山健組』から取られた『山健~』という冠が、いらぬ摩擦を生じさせることを避けたとも考えられる。また、一説には今後、プラチナと呼ばれる直参の人員をスリム化させるのではないかとも噂されている」(二次団体幹部)

 また、捜査関係者は、「あくまで噂の域を出ないが、今回作成された御通知にある人事は、以前から囁かれていた六代目山口組への加入交渉のために整えられたものではないかともいわれている。しかしながら、六代目サイドからは、任侠山口組の加入を否定する声が強いのも事実だ」と話した上で、次のように推測する。

「六代目では9月4日をもって、分裂騒動に際して離脱した組員の受け入れ期間は終了したといわれているが、あくまでそれは六代目山口組サイドから勧誘した場合の受け入れ期間が終了したという意味らしい。今後、六代目山口組側に帰還したい人が出てきた場合は、復帰志望者と受け入れ組織という当事者での話し合いではなく、上層部によってその可否が協議され、迎え入れる組織なども決められる方針となるのではないか」

 組織とは人の集まりによって形成されるもので、特にヤクザ組織は、義理や筋でのつながりに重きを置く。そんななかで、この捜査関係者が語る、上層部が受け入れ先を決めるという見解が事実だとしたら、それが適切かつ長期に続くことなのかどうかは判断が難しいところだ。

 警察当局の締め付けが一層強まれば、各組織は、それに対抗すべく組織防衛を図るだろうし、そのたびに運営方針が変わっていく面も出てくるだろう。要するに、分裂という混沌とした現在、各組織にどんな変化が起きてもおかしくない状態は続いているといえる。

 ちなみに、冒頭で記した尼崎市の四代目真鍋組本部は使用禁止の決定を受けて、組織名称の表札を外し、今後は傘下に収まる一事務所として、同市内にある任侠山口組二代目古川組と共に尼崎市における影響力の強化に努めていくようだ。
(文=沖田臥竜/作家・元山口組二次団体幹部)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
元山口組二次団体最高幹部。2014年、所属していた組織の組長の引退に合わせて、ヤクザ社会から足を洗う。以来、物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新小説『死に体』(れんが書房新社)が発売中。

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